【戦国BASARA】恋愛短編集

大友宗麟/あなたとの、幸せな思い出に変わる（夜月様リク） ページ15

※夢主ちゃん宗茂娘設定。

「ふう・・・。」
Aは夜空を見上げた。
頬を流れていた涙も、ようやく乾きはじめたころである。
と、そこに不意にサクリ、草葉を踏みしめる音。
「まったく、何処にいるかと思ったら…。
　ずいぶん捜しましたよ、A」
「宗麟さま…。
　捜しに来て下さったのですか…？」
「全くですよ。
　宗茂の奴、自分の娘位自分で捜すものです、次こんなことがあったら島流しですよ。
　Aが大変なんです！って、なんともないじゃないですか。
　……って、何を泣いているのです。」
気付けば、一度は止まったはずの涙が、また留となく流れはじめていた。
「だって、宗麟さま。なんともないって…。
　幼いころは、私がどんなに隠そうとしても、直ぐに何を考えているか分かってくれたのに…。」
ああ、何て我儘を言っているんだろう。
月日がたてば、離れ行くことなど当たり前なのに、今こうして宗麟さまを遠く感じてしまうのが、こんなにも辛い。
「昼間、ざびーしょう、でしたっけ？
　愛し麗しマリア、と仰ったでしょう…。あなたは僕の女神だと。
　…昔は、そんなことを言われるのは私でありましたのに…。
　昔のこととはわかっております。
　でも」
「まったく、お前は宗茂のワイフですか？
　意地を張っていないで、早く言って仕舞いなさい。」
私は顔を背けた。
止まらない涙を見て、面倒臭く思われて仕舞われるのが怖かったから。
「ザビー様は百一回目のプロポーズにも失敗しました。」
急に始まった話に二の句が継げなくなった。
あまりにも突拍子のない話であった。
「でも、A！
　僕は…お前にだけは…一度でも求婚を断られたら終わりです…。」
語尾がどんどん、夜空に吸い込まれるように細くなっていくのに、私の心も釣られて軽く昇ってゆくようであった。
「本当、に…？」
「ええ、ですから布教なんてしません。
　ザビー様の愛と、お前への愛は大違いです。
　ザビー愛はいわばお金のカオス、偽善の隠れ家です。
　…でももし、お前に洗礼名を与えるとしたら、それはエンジェルです。」
「えんじぇる…？」
「知らなくてよろしい！
　…本当に、いいのですか…」
「何年、待ったと思っているのです。」
もう、さっきから涙が止まらない。
でも今度は、悲しいものではなく、うれし涙。
宗麟さまは、私の手を引いて立ち上がった。
「帰りますよ！」

「ザビー教では、離縁など、持っての他ですよ！」
「ええ、わかっておりますとも」
(その手前の喧嘩は、一体いくつあるのでしょうね？)
でも、それもきっと。

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