毛利元就/功を奏す ページ14
男は、窓辺に立っていた。
此の広い天守の主である。
鋭い眼光を、窓の外へと投げかけて、チ、苦々しい舌打ちがなんとも言えない天守の空間に響いた。
男は、すぐそこに控えさせていた小姓を呼びつけると、あの女を呼べと、クイと顎を動かした。
小姓は、刺された先へと目線を走らせる。
御意、静かな声がまた響いた後、そこにはまた例の沈黙が広がった。
*======*
「お呼びでしょうか」
「ああ、」
「して、用は」
跪く女に、それを冷たく見下ろす男。
男はおもむろに口を開く。
「凡愚の振りは止せ。
我の癪に障る。」
「・・・・凡愚、ですか。」
男はまるで品定めをするかのように目を細めた。
「貴様は優秀なる女だ。
我が軍の駒どもの中でも、抜きんでて智に長けておる。
先の戦でも、貴様は我の策に気付いておったであろう。
見事囮の役目を果たし、且つ一つの落伍者も出さず帰還した。
女ながらに、貴様が一番有用よ。」
「お褒めにあずかり、恐悦至極に存じます。
…しかし、それとどう関係すると?」
女は誇らしげに、しかし皮肉気に笑んだ。
「駒はいっそ無能な方がいい、そう仰ったのは貴方様でございましょう。
無駄な勘繰りをしない方が、と。」
私は貴方様のお役にたちたく、そう憎々しげな顔に書かれている。
すると男は、ぐいと女に顔を近付けた。
「それも凡愚の振りならば止せ。
・・・・・・我は貴様を駒などとは思うておらぬわ。」
女の目が大きく見開かれる。
あおい悲痛を湛えた、恋色の瞳が。
「我は貴様を先ほどなんといった?
駒、ではなく。」
男は女を試すように見ている。
女は目を見開いたまま、おずおずと口を開いた。
「女、と・・・・・・。」
男の口の端が弧を描く。
だが、それでもまだ答えを待っていたようで、彼はもう一度苛立たしい表情に戻り、溜息をついた。
「我は貴様を、そう見ている、ということよ。」
「元就さま・・・?」
「毛利A。
今より貴様はそう名乗れ。
駒上がりゆえに流石に正室には出来ぬが、我は貴様のほかと契る気はない。
精々その名を汚さぬようにしろ。」
「・・・・・・、―――は!」
広く何もない天守。
其処にはいつも静寂が満ちている。
大友宗麟/あなたとの、幸せな思い出に変わる(夜月様リク)→←石田三成/あとは貴方次第
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希望(プロフ) - 失礼します!リクエスト、させて下さい!良かったらですが、政宗様のお話をリクエストしたくて…学バサの方でリクエストしてもよろしいですか!!? (2017年6月8日 19時) (レス) id: f217a178dd (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - 舞姫さん» はい!了解です。前の黒丸様と順番がゴチャゴチャになってしまうかもしれないのでご了承下さい。 (2017年4月1日 12時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫 - リクエストでーす!えっと……竹中半兵衛様。明智光秀様を、出来たらでいいので、お願いしま~す。 (2017年3月25日 10時) (レス) id: f50ff2d6e1 (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - はい!返信遅くなり申し訳ございません!別々で作らせていただきます。何かあればまた仰ってください (2017年3月23日 0時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸 - リク良いでしょうか。弁丸、梵天丸、アニキお願い致します。 (2017年3月19日 22時) (レス) id: 892b25096f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿(小石の方) x他1人 | 作成日時:2016年6月27日 18時