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石田三成/あとは貴方次第 ページ13

(秀吉の娘設定。)

大好きな人たちを見るとき、いつも鋭い眼光は暖かくみんなを包んでいて、への字に引き結んでいる口元も、柔らかく笑んでいる。
華奢な細い腕は驚くほど強靭で、非道い言葉を吐くことが多いその声は、思いのほか優しい。
雨の日にはいつもに増して機嫌が悪くて、それが一つの塊であるように頑として乱れない髪は、少しだけぴょんと跳ねている。

最近、その瞳に映りたいと思うことがある。
その腕に抱きしめられたいと思うことがある。
その声で名を呼ばれたいと思うことがある。

そんなことを思いながら描いた石田治部の絵は、なんだか不格好な鳥みたいで。
クスリと笑ったとき、外の雨音に混じって、聞きなれた足音が聞こえた。
どうしよう、隠さなくちゃ。
焦った脳内は判断を狂わせて、足音がすぐ近くまで迫ったとき、私は紙の上にがばりと覆いかぶさった。
「失礼致します―――。」
入ってきたのは石田治部その人。
姫ながらも政務をこなす私に、時々こうやって仕事を運んでくる。
狸寝入りをする私の隣に紙を置いた風が空気を揺らした。
すうすう。わざとらしい寝息が響く空間から、治部はなかなか出て行こうとしない。
ななななにをしているんだい治部!?早くどっかいってよ!
再び焦り始めたとき―――。

「お赦し下さい。」
あれ、なんか謝られるようなことされたっけ、と思ったとき、頬に温もりがふれた。
へ?と腑抜けた声が出そうになって息を呑んだとき、
「A様…。」
唇に柔らかな感触。睫毛がふるりと震えたとき、其れは消えた。
「お赦し、下さい。」

去ってゆく足音。
どうしよう、触れられたところから融けそうだ。

*======*
その日の夕刻。
治部の部屋に済ませた書類を届けに行く。「は、はいりまーす・・・。」
障子をあけて、見えた治部は、かくりかくりと舟を漕いでいた。
―――ああ、これは。
私は吸い寄せられるように近づいていた。

ねえ、治部―――。
「気付いてるんでしょう。」
その青白い頬に押し付けた唇が、私の精一杯だから。

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設定タグ:戦国BASARA , 恋愛 , 小石の方   
作品ジャンル:恋愛
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希望(プロフ) - 失礼します!リクエスト、させて下さい!良かったらですが、政宗様のお話をリクエストしたくて…学バサの方でリクエストしてもよろしいですか!!? (2017年6月8日 19時) (レス) id: f217a178dd (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - 舞姫さん» はい!了解です。前の黒丸様と順番がゴチャゴチャになってしまうかもしれないのでご了承下さい。 (2017年4月1日 12時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫 - リクエストでーす!えっと……竹中半兵衛様。明智光秀様を、出来たらでいいので、お願いしま~す。 (2017年3月25日 10時) (レス) id: f50ff2d6e1 (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - はい!返信遅くなり申し訳ございません!別々で作らせていただきます。何かあればまた仰ってください (2017年3月23日 0時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸 - リク良いでしょうか。弁丸、梵天丸、アニキお願い致します。 (2017年3月19日 22時) (レス) id: 892b25096f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:椿(小石の方) x他1人 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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