笑えない、どつかれた本拠地。【白膠木簓】__extra story

▼comedian.10 ページ16

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しつこいその男はきっと新手のナンパであろう。集団でないだけまだマシだ。






「いいじゃんお嬢さん
君一人置いてく彼氏なんてほっといてオレと遊ぼ」

『彼氏では無いですが、待ってるだけです置いてかれてませんよ』






『多分』と聞こえるか聞こえないかの声で言えば何か確信したように「あー」と呻いた。


そうして男はふっと笑って私の肩をぐっと寄せる。




ハイきもいハイ粛正してくださいィ、なんてふざける余裕は無い。









「お嬢さん、東雲谷さんですよね」








そう、耳元で言われた。

名前は結構ネットに晒されてる…って言い方が悪いか。仕事の依頼を受ける側として指名があるから、
私の名前を知ってる人は結構多い。









「僕、東雲谷さんのファンなんです」









だけど、顔は好評していない筈。









「結婚を前提にお付き合いさせてください」

『話が飛躍しすぎなんですよ帰れ
あと、私のファンの方はこういう事しませんが』

「現に今僕がこういう事してますが」




『私ファンとは付き合わないって決めてるので』








そう吐き捨てればふっと笑う男、自称ファン。
嫌だよこんな人ファンって認めんの。







「じゃ、僕が今この瞬間にファン辞めればいい話か」






さてはアンチだなオメー()




「それならいいでしょ」と手を引いて、肩を抱き寄せてくるその男。

意外と柔軟剤良い匂いじゃないですか腹立つな









白「待たせてごめんやーって、

…その兄ちゃんはどちらさん？
もしやナンパ？あんたでもナンパされるやなぁ！ビックリ仰天やわ」









トイレから帰って来たらしい簓さんは爆笑しながらこちらに向かって来た。

男は「知り合い」と疑問符付きで苦笑していた。
知り合いじゃない、と答えたいところだが仕方ない。




今はちょいと助けてもらおう









「なぁに、待ってる人ってやっぱ男じゃないですか
僕みたいにファン？
東雲谷さんファンとは付き合わないんじゃないの、」

白「勘違いしとんのお兄さん
ファンなんはその子やで？俺のファンやねん」

「うん？
誰があんたみたいな……お、おとこ……に、……」







「もしかして」と少し声を上擦らせる男は私の肩からぱっと手を離した。







「白膠木……簓！？」


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