真夏の夜は貴方を想う2【SS】 (ページ23)

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キャンディーページ23

まだ何も言えてない…

こんなにびしょ濡れになるまで私を探してくれて、
家まで私を背負って連れて帰ってくれた。

ちゃんとお礼言わなきゃ。

私は裸足で先生のところまで走る。

「先生待って！」

そう言って先生のシャツを掴むと
先生は驚いた顔をしながら振り返った。

「山田…足痛むんだろ？」

「っ、私の足はどうだっていいんです！
　そんなことより、今日は本当にありがとうございま
　した！」

ありがとうって伝えたいだけなのに、
想いが溢れて涙が出てくる。

「フッ、泣きすぎ。
　それ以上泣いたら不細工になるぞ？」

「っ…だって…」

先生はまた私の涙をぬぐってくれた。
困ったように笑う先生が優しい瞳で私を見つめる。

あ、そうだ…
先生は何か思い出したようにポケットをあさる。

「はい、誕生日おめでとう。」

先生はそう言って私の手にキャンディーを乗せた。

「どうして…。」

何で今日が私の誕生日だって知ってるんだろう
そう思ってると、

「二宮がさっき言ってたんだよ。
　あいつ、今日誕生日なのに散々だなって。」

そうだったんだ…

「これ、出店のおっちゃんに貰ったやつだけどね。」

こんなものしかなくてごめん。
先生はそう言ってるけど、
私にとってはどんなものよりも嬉しかった。