桜が舞う頃【黄瀬涼太】

25.１日目1回戦 ページ27

｢なぁ、咲良さん。君はどっちが勝つと思うか？｣


いきなり監督さんに話しかけられて驚く


尋ねられた意味を遅れて理解し、そうですね…とコートに目を向けたまま言う



｢私の予想は、海常が勝つんじゃないかなと思います｣


｢へぇ、なんでだ？｣


｢単純な理由なんですけど、能力が全然違うからです。真くんのシュートは外れません。涼太くんにすごい跳躍力や身長がない限り、あのシュートには触れないです。｣


でも、と言葉を繋ぐ


｢それは真くんから見ても同じで、涼太くんのシュートを止めるには相当なアジリティが必要だからそう簡単に止められるわけじゃない。｣



それだけ見たら互角に見える


むしろ秀徳が優勢のように見える



｢どれだけ仲間に頼れるか…の勝負だと思うんです｣


その勝負になった場合、仲間に頼ることがどれだけできるか。



今のところは涼太くんの方が仲間に頼っているから



｢なるほどな｣


監督さんはそう呟いた



ﾋﾟｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｯ



《海常 96 対 秀徳 92》




試合終了の笛が鳴り、挨拶を終えたみんながコートを出てきた



｢次は負けないのだよ｣


｢次も負けないッスよ！｣


そんな会話をしながら戻ってきたふたりにドリンクを渡す




｢お疲れ様でした。2人ともすごくかっこよかったです！｣


両手を握ってそう伝えると真くんの顔が真っ赤になり、涼太くんはムッとした顔になった



｢と、当然なのだよ。｣


｢そーゆーのは俺にだけ言って欲しいっス…｣



そんなこんなで話していると、次の試合の準備の時間になり、ふたりとお別れした



｢明日も海常のマネやるのあるんスよね？すっげー嬉しい！｣


涼太くんから去り際に笑顔で言われたその言葉がすごく嬉しくてドキドキした



海常→秀徳→陽線→桐皇、と業務をこなし今日の試合は終了した

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