二十六 ページ33
「強さかい?また随分懐かしい話題だね。」
老人は目を細める。
この話を最初にしたのはもう四年も前になる。
「僕も沢山考えたんです。剣の強さも、思いの強さも、運の強さも、どれも強さだと思います。でも、それだけじゃない気もする。」
「それがおめぇさんの答えかい。」
老人の問に沖田は首肯した。
それを見た老人が微笑む。
「じゃあ私はこう答えようか。私が思う強さってのは、積み重なりじゃねえかってな。剣の腕、それを振るう肉体、その時の気候、場所、条件、運、守る覚悟、切る覚悟、生きる覚悟、そんななにもかもが積み重なったもんが強さなんじゃねェかと思うのさ。そして戦いってのはその積み重ねの削り合い、互いの積み重ねをぶつけて削って、最後に何かが残った方が勝つ。そんなもんだとは思わねェかい?」
「そう・・・かもしれないですね。」
そう呟く沖田を見ていた老人はスッと立ち上がる。
「若いの、送っていこう。」
「え、いいですよ、別に。」
老人は戸惑う沖田の顔を覗き込む。
「おめぇさん、病気だろう。」
「!!」
驚きで固まってしまった沖田に老人は苦笑した。
「何度も言ってるだろ、よく見ろってな。よく見りゃいろいろわかるもんさ。」
「そういうものですか・・・。」
確かに京にいた頃も老人はよく見ろと言っていた。
この老人には敵わないなと改めて思い知らされる。
「あーあ、まさかそんなにあっさりバレるなんてな。」
「経験の差というやつさ。」
二人で顔を見合わせて笑う。
「さ、行こうか。病人が身体を冷やすもんじゃねェよ。」
15人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朧 龍 - 赤眼鏡さん» コメントありがとうございます。流石に100以上を毎日なんてしませんよwまた楽しんでいただけるよう頑張りますね♪ (2019年1月27日 20時) (レス) id: 345339f75a (このIDを非表示/違反報告)
赤眼鏡 - ちょっと戸惑いを隠せないでいました(笑) では、名残惜しいんですけど、これ以上書いていたら保存コメントからも消えるので止めにします。(私の初めのコメントは消えても◎です)では。 赤眼鏡より (2019年1月27日 9時) (レス) id: abb9993cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤眼鏡 - 『雨月物語』、wikiでチラッと見てきました。(最初タイトルだけ見たとき、「よし、今度本屋行こう」とか考えて…wiki見たら無理じゃんって…)ずーっと下へ下へ見ていくと、「か、漢文!?」って…。 (2019年1月27日 9時) (レス) id: abb9993cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤眼鏡 - 嬉しかったんです。何か書いている途中で、「ファンレターっぽい…」と思っていたものに、返信がきてもう…!って(笑) 〜割愛〜 (2019年1月27日 9時) (レス) id: abb9993cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤眼鏡 - 私も昔こんな事してたけど〜…!と勘ぐっちゃいました。)「長文コメントは俺にとってはご褒美です」。このコメントを深夜に見て、引き笑いみたいなのをしてしまいました(笑) (2019年1月27日 9時) (レス) id: abb9993cbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朧 龍 | 作成日時:2017年10月23日 1時