すぐ近くにいる another story 8

シロツメクサ Ki -side K- 53 ページ2

先にAを降ろして
車を止めて
Aんちに向かうと
部屋の前には玉森さんとA。



ほぉー、玉森さん意外と行動力あんじゃん。



でも

「またか」

つい笑っちゃう。



二階堂ん時と言い
よこーさんの時と言い。

どーも俺はこーゆータイミングに出くわすな。



この後きっと2人はうまくいく。

これでAと玉森さんは
ちゃんと話が出来さえすれば、だけど。



笑ってる俺を

「は？」

玉森さんが不思議そーにこっちを見てる。



そりゃそーか。
玉森さんからしたら俺がここに居ってことは
Aを慰めに来たって事で。

言わばライバル的な存在だもんな。



Aを泣かせた事を責る事か出来る立場なのに

「いや、こっちの話」

全然そんなつもりが無かったから
笑いが止まらない。



Aを泣かせた事はムカつくけど
どーせAの勘違いだろ。



ぽかんとしてる2人にまた笑っちゃうけど

「俺、帰るわ」

Aに言う。



「え、でも」

「いーから。つーか玉森さんとちゃんと話せよ。んでちゃんとフラれたら俺んとこ来い」



言ってチラッと玉森さんを見ると
状況把握出来てないからすげーマヌケな顔してて
イケメンが台無し。

やっぱ笑っちゃう。



「んじゃねー」



お幸せに。

心の中で呟くと2人を置いてうちに帰る。



途中で弁当とか買って
郵便ポストを見ると
Aさんのポストの中身が無くなってる。



また居ない時に帰って来たんだ。



はぁっ、とため息をつくとスマホが鳴る。

電話に出るとAからで

『玉森君と、お付き合いする事になった』

嬉しそうな
どこか気まずそうな声で言う。



「だろーな」

『え？』

「俺は知ってたから、玉森さんの気持ちもAの気持ちも」

『えぇっ！？そうなの！？』

「だから辛くもなんともねーよ」



俺のもう1人の妹が幸せになれたってだけの話。
俺にとってはそれ以上でもそれ以下でもないよ。



「また飲みに行こーぜ。玉森さんも一緒でもいいし」

『玉森くんは連れて行かない。飲みすぎるから』

「あはは！でもそれこそAが面倒見れるじゃん」



そして、これだけは伝えたい。



「幸せになれよ、A」

『うん。……ありがとう、宏光先輩』



電話が終わるとため息をつく。



Aが幸せそーで良かった。

今度は俺が頑張る番だ。



Aさんのお店を探そう。

スマホの検索画面を立ち上げて……



…………ん？



店の名前、何だっけ。



忘れちゃった…………

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