太陽の当たる場所 9

4U 24 side 2 ページ42

Aの『嫌い』は
どこか甘くて
全然『嫌い』が伝わらない。

いまが嫌なだけで
『嫌い』じゃないのが分かるから
逆に『本当は好き』って言われてるみたいで
何度言われても全然平気。



そんなAに
何かお揃いでつけられたらな、って。

ネックレスとかより
ブレスレットがいいかな、って思って。

右手には時計つけるから
自分は左手ならつけられるから。



ラッピングを開けてるAに見えないように
自分のブレスレットをつけてから
Aにブレスレットをつけてあげると

「…誕生日、お祝いしてくれようとしてありがと」

わざとAの目の前にブレスレットをつけた手で頭を撫でると
Aが気づいて目を丸くしてる。



「…え」

「んふふーっ、お揃いっ」



照れくさいからふざけて言うとAは

「お揃いなんだ」

嬉しそうに笑ってくれた。



「ね、機嫌直った？」

これを見られたくなかったからなんだからなんだよ？聞いてみるけど

「……」

Aは少し迷ってるみたい。




「ね、ね、お祝いして？あと、来年も再来年もずっと一緒にお祝いして？」

おねだりするとAは笑っちゃって

「言われてお祝いするのは違う気がしちゃうけど」

クスクス笑うAはギュッて俺に抱きついてきた。



「…お揃い、嬉し」



小さく呟いてる。



可愛い。

Aを抱き返すと

「ね、お祝いして？」

もう一度言ってみると

「ニカ、お誕生日おめでとう」

ギュッて抱きしめてくれる。
そして涙声になってきて胸のあたりがじわーって何か染みてくる。



「また泣いた？」

「泣くよ！嬉しいもん」

「あはは、やったね」



喜んでくれて良かった。



「さっきね、ケーキも予約した。ちっちゃいやつ」

「そうなの？」

「プレゼントはニカの家にあるの」



Aは言うけど。

そもそも違和感があった。



「その『ニカの家』っておかしくない？もう2人の家でしょ？」



前から何だか変だなって思ってたけどっ。

Aはクスクス笑って

「ニカってサラッと嬉しいこと言うよね」

顔を上げるAは

「…私たちのおうちにニカのプレゼント用意してあるからね」

泣き顔で笑ってくれる。



「やったね」

「だから、明日も一緒に過ごそ？」

「もう今日だけどね」

「そっか」



クスクス笑うAは涙を拭うと

「めっちゃ、大好き。愛してるよ、ニカ」

満面の笑顔で言ってくれて。



愛しくて愛しくて。

俺も、の意味を込めてキスをした。




-END-

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