太陽の当たる場所 9

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ニカは本当にバカだ。

なんであんな言い方して
私が怒らないって思えるんだろう。

なのに『一番に言って』って
言うわけないじゃん。



一生言わないって言う私に馬乗りになってるニカは

「あはは、だよね」

笑っちゃってるけど私は全然笑えない。



「だから言わないから降りてっ！もうニカには二度と言わないもん」

「あはは！『言わないもん』ってかわいい」



私の言い方を真似して言うニカは楽しそうに笑ってるけど

「もうニカ知らないっ！ニカ嫌いっ」

涙がどんどん溢れてくる。



「…俺は好きっ」

ニカが覆いかぶさって来るけど

「知らないっ、嫌いっ」

もうニカの安い『好き』を聞いたところで
私を宥めるように頭を撫でられても
今日はさすがにダメだ。



「好ーき。めっちゃ好き」

「大っ嫌いっ。8月5日と6日は来年どこかホテルに1人で泊まるっ」

「出たー、久しぶりにスネ夫登場だね」



ニカは楽しそうに笑うと

「…ホントごめんね、これを見られたくなかったの」

私から一度降りるとガサゴソ音を立ててる。
そしてまた近づくとベッドサイドの明かりをつけた。



「ん、これ」



また馬乗りになってから目の前に紙袋を置くニカ。

めちゃくちゃハイブランドのヤツだけど。



「……ん？」

何これ。

「これ。プレゼント」

「え？」

「…開けてみたらいいんじゃない？」

ニカは言うけど。



馬乗りになられてたら開けられないよ。



「……あ、ごめん」



ニカも気づいてくれて私から降りるから
起き上がって紙袋を開ける。



中に入ってるのは

「…ブレスレット？」

一部皮で一部金具になってて
金具のところでつけたり外したりするみたい。



「つけてみたらいいんじゃない？」



ニカは何故かこっちを見ない。



つけてみたら、って言うけど

「…なんで？」

「は？」

「オシャレすぎて付けられないよ」

「なんでよ、つけなよ」

「でも…」

つけた事ないしそもそもこんな高いやつ…



「あー、もう！いいから付けてっ」



そう言うニカは私の手からブレスレットを取ると
左手にブレスレットをつけてくれる。



小さくカチッと音を立ててつくブレスレット。

ものすごくオシャレで可愛い。



「…誕生日、お祝いしてくれようとしてありがと」



頭を撫でるニカの左手には同じブレスレット。



「…え」

「んふふーっ、お揃いっ」



ニコッて笑うニカ。



…お揃いなの？



ニカからのまさかのプレゼントに
嬉しくて涙が溢れてきた。

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