この想いの結末は 9

after そしてそれから 10 ページ33

Aにサプライズの話をした
次の日。

帰ると既に帰ってきてたA。



「おかえりーっ」

しかもご飯を作ってくれてて。
一歩リビングに入るとものすごくいい香り。



「今日は寒いから鍋にしたよっ」

「へー！ありがとう」



…って、あれ？

鍋のセットなんてうちにあった？
カセットコンロも。



俺の目線に気づいたAが

「買っちゃった」

疑問を察知して言う。



「えっ」

「戸棚に収納するスペースもあったしちゃんと採寸もして買ったよ？」



ニコッて笑うAはやっぱり男前で。
アコにオーブントースター買う時もちゃんと採寸してたな、って思い出す。



「嬉しいけどこれ重かったでしょ」

「全然。軽かったよー」



そんなワケないでしょ。
鍋とカセットコンロと食材だってあった筈なのに。

ついムッとしたのがAにバレて

「大丈夫だってば」

Aに笑われちゃう。



「友達のとこに連絡したよ」

「おっ、ありがとう」

「事情説明したら信頼してるスタッフつけるから安心してって言われたよ」

「へー！助かるっ」



チュッておかえりのキスをして
タブレットで資料を見せてくれるA。

ドレスやタキシードのレンタルとか
チャペル貸切料金とかと
実際のチャペルの写真もついてる。

海が見えるすごく綺麗な所だった。



「日が仏滅とかなら式もないから上手く行けばリハーサルだとか理由つけて牧師さんや聖歌隊も手配してくれるって」

「いよいよ本格的じゃん」

「しかも親友価格っ。半額から70%OFF」

「え！すごいっ！」

盛り上がってるとふとタブレットをめくる手が止まる。



最後についてる見積もりが
『Aがうちで挙式&披露宴をした場合』
って手書きが付け加えられた見積書だった。



披露宴の登場はゴンドラとか
ケーキは生ケーキのものすごく高いやつって書かれてて面白いな、と思う反面。



俺たちの年代って
結婚式をするとかそういう年齢なんだよな、って突きつけられた感じがする。



「私もまだ全部見てないんだけどチャペルの写真とか外観の写真とか入れてくれたって言ってて」

キッチンからAの声がする。



…ってことはAはこの見積がついてるの知らないんだ。



「そうなんだ」

「私はその子や友達の結婚式で行ってるけど一緒に企画する太輔は知らないって伝えたら資料たくさんつけとくよーって言ってたよ」

「イメージしやすいよ、ありがとう」



そう返すのが精一杯で。




何だか落ち込む。

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