この想いの結末は 9

after そしてそれから 5 ページ28

Aside



ふと目覚めたら太輔の腕の中。



…あれ？何で？



見上げると

「…ん？起きちゃった？」

寝起きの太輔の掠れた声。



「…何で私ここで寝てるの？」

「え？A寝ぼけてたの？」

「……」



寝ぼけて抱きついたんだ。

恥ずかしい。



「俺ね、今日休みになったの」

「そうなんだ」

「だから今から俺はAの抱き枕になるから好きにしていいよ」

太輔に柔らかく抱き締められる。



でも好きにしていいよ、って言われても。

「これでいいよ」

じゅうぶん気持ちいい。



「え？そう？」

「うん」



ホッとして眠くなってくる。


さらに私の呼吸に合わせて背中をぽん、ぽん、って
一定のリズムで優しく叩かれて
最高に幸せだった。



「それ、気持ちいい」

「ん？」

「このぽんぽんしてくれてるやつ」

「そっか」



太輔が少し笑ってぽんぽんしてくれて
鼻歌で子守唄を歌ってる。



なんて贅沢な。

もっと聞いていたかったのに睡魔には勝てなくて。




目覚ましの音と唇に何か柔らかい感触。

チュッ、と音を立てて唇が解放される。



目を開けると至近距離に太輔、



「おはよ、A」



一瞬思考が停止する。



「……おはよう」



何この贅沢な朝。

太輔の腕の中で
子守唄の中で眠って
キスで起こしてもらって。



「昨日ホントごめんね」

太輔が言う。

「私こそごめん」

「俺すごい感じ悪かったよね」

「ううん、私も太輔が心配してくれたのに態度悪かったよ」



お互い自分が悪いって言い合っちゃってる。

何これ。



太輔も同じ気持ちだったみたい。

どちらともなく笑う。



「やっぱ同じベッドで寝るのいいね」

太輔が言う。



「うん」

「昨日Aこんな顔してたよ」

そう言ってムスッとした顔をする。



「あはは、嘘だー」

「嘘じゃないよ。でもだからよっぽど嫌だったんだと思って」

「最初はね。作ってみたらホントに食べれないなーってなったしやっぱり疲れてたんだなって思ったよ」



本当に作って満足しちゃったよ。

昨日無理でも食べれば良かった。



「今から食べる？俺がお餅焼いておくよ」

「え、いいの？おやすみでしょ？」

多分太輔は私がくっついてたから
全然寝れてないよね。



「大丈夫、今日休みだから後はゆっくりするし」

太輔はまたチュッて音を立ててキスして

「Aにとって大切な日くらい彼氏っぽくさせて？」

なんて言われて。




平気でいられる人がいたら会ってみたい。

after そしてそれから 6→←after そしてそれから 4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す