すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 24 ページ27

玉森くんは偉かった。

潰れた日は私が部屋の中まで送って
枕元に水とか置いて帰ったくらいだし
次の日休むかと思ったけど
ちゃんと出社した。



「昨日ありがと」

誰も周りにいないタイミングで玉森くんがやってくる。

「こちらこそ。体調は？」

「大丈夫じゃないけどまぁ大丈夫。それよりA引き継ぎ大丈夫？」

なんて人の心配してくる玉森くんは
二日酔いで少し辛そう。



「これ」

私は机の中から炭酸水を出す。

「ん？」

「二日酔いにいいよ」

「え、でも常温でしょ？」

「そうだよ。でも効くから」

「意外。Aが常温の炭酸水とか女子じゃあるまいし…いてっ」

失礼な玉森くんをグーで殴る。



「返して」

玉森くんからペットボトルを奪い取ろうとしたら

「飲むよ、さんきゅ」

返してくれなくて玉森くんは蓋を開けて炭酸水を口に含んだ。




それから宮田くんに辞令が出ると
私と玉森くんは何回も送別会をして引越しの手伝いもする。

「不安だよー出向だしさーこれから内勤だしさー」

引越しの荷造り中に宮田くんは弱音を吐く。



「平気だろ、宮田なら」

「うん。宮田くんなら大丈夫だよ。すぐに慣れるし周りとも仲良くなるよ」



玉森くんと私がそれぞれ言うと

「タマ…Aちゃん…」

宮田くんは目をうるうるさせて玉森くんと私を抱き寄せる。



「ちょっ！宮田っ！離れろっ！」

「あーもう2人とも大好きっ！帰ってきたら遊んでよ！？つーか遊びに来てよ！？」

慌ててる玉森くんを無視して宮田くんは抱きついていて
玉森くんは真っ赤になっている。



あぁもう宮田くんってば。
知らないとは言え玉森くんが困っちゃってるよ。



荷造りを終えて引越し屋さんに持ってってもらった後。
ホームまで見送りに行くと
玉森くんはちゃんといつもと変わらない憎まれ口を叩く。

「じゃあな宮田。たまには連絡寄越さないとお前の事なんか忘れるからな」

「タマー、そんなこと言わないでよー」



玉森くんの言葉に宮田くんは新生活に対して不安でいっぱいで本当に半泣き。



玉森くんは素直じゃないなー。

だから

「たまにこっちにも帰って来てね。そっちの生活落ち着いたら私たちも遊びに行くから」

玉森くんの本音を伝える。



「Aちゃーん！」

宮田くんが嬉しそうに私に抱きついて来そうになったから
慌てて玉森くんの影に隠れて玉森くんに抱きついてもらった。



「こら！離れろ！」

「ううー2人とも大好き！」


玉森くんはやっぱり嬉しそう。

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