拾ってください。

特別な日に 3 T ページ29

Aの横の居心地が
びっくりするくらい気持ちいい。



シャワー浴びた後でソファに座ってると
隣で楽譜を見て百面相してるA。

たまに指でリズム刻んだと思ったら難しい顔をしてページをめくってる。

鼻歌でメロディなのか優しい曲を歌ってる。



すごく癒された。



こんなに落ち着く場所を他に知らない。



Aは歌を辞めたと思ったら
また百面相をするから見てて笑いが止まらなくなりそうになる。



すごく癒されたから「寝よう」って言うと
寝る場所を譲ってくれるって言う。



どんだけ人がいいの？



じゃあ一緒に寝ようって言うと真っ赤になって嫌がってる口ぶりだけど
そんなに嫌じゃなさそうなのが分かりやすくて。



今までこんな子会ったことないよ。

見てて幸せになれる子って初めてだな。



そっと寄り添ってみると
Aの香りや体温がものすごく心地いい。



「…やっぱりAのそばって落ち着く。空気感かなー。安心して泣きそうになってきた」



舞台の疲れや色んなものから解放されてる感じ。

こんなに落ち着く場所を他に知らない。



もたれて目を閉じる。
深呼吸をする。

ものすごくリラックスできる。




「じゃあ一緒に寝る？」

なんてAが言う。



驚いてAを見ると照れた顔をしてて
俺があんなこと言ったから心配してるのか
少し探るような目をしてる。



「………いいの？」

「狭いよ？」

「いい」

それならそれで近くに居られるわけだし。

嬉しくて抱き締めるとまた嫌がるA。
けど背中に手が回って遠慮がちにポンポンしてくれてすごく嬉しい。



一緒にベッドに入るとやっぱり狭いけど。



「んふふふふ、Aが近いっ」

そう言って抱きつくと

「…何もしないんでしょ？」

ってAはツンツンしてて。



でもそのまま目を閉じると
少しして背中をゆっくりポンポンしてくれてる。




どうしよう。

本当にAが大好きだ。



ペットだもん、甘えていいよね？



「にゃーん」

そう鳴いてみるとAがポンポンしてた手が止まって。

「…起きてるの？」

って言うAの声が上ずったから
寝たと思ってポンポンしてくれてるんだとしたら
これは寝たフリ続行の方がいいな。



「きっと沢山頑張ったんだね」

そう言ってAは頭を撫でてくれたから
嬉しくて笑っちゃいそうになるのを堪えるのに必死だった。




ペットポジションから彼氏ポジションに
どうやって上がるか考えないと。

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