拾ってください。

特別な日に 4 ページ30

裕太の頭を撫でてると
寝息がだんだん一定になる。



熟睡してきたのかな。



こんなにイケメンでコミュ障とか
嘘じゃないのかな。

しかもそんな人が私に好きとか言う？



なんだかしっくり来ない。
でも裕太が緩みきってるのは分かる。



無意識で色んな女の人に
こんな事言ってきてるのかな。

勘違いしそう。
あまりハマらないようにしよう。



ん？

ハマる？



それってもう
私は裕太のこと好きになってるってこと？



そんなことないよね。

自問自答しながら目を閉じる。
そして結局裕太の腕の中にいるのはなんだか気持ち良い。

翌朝起きると
私はまだ裕太に抱き締められていて。



少し暑いから離れたくてモゾモゾ動くと

「んんんー、じっとして」

裕太から文句を言われる。



「まだ眠いー。Aも寝よ？」

「だって暑いもん…」

「もぉー、ワガママ言ってー」



そう言うと裕太は目を瞑ったまま布団を捲って肩を出すと

「はい、これでおっけー」

ってまた抱き締められる。



………何がOK？



少し経つと裕太はまた寝息をたてている。

そして何だかんだ7時間寝てるのにまだ眠いとか
結局裕太は本当に疲れてるんだ。



なのにうちに来るって。



やっぱりそれなりに私は気に入られてるのかな。
疲れてたら帰りたいもんね。



1人に慣れてるから
裕太がたまに来る生活に戸惑いながらも
なんか悪くない気がして来ちゃって良くない。



しかもこんなに近くに男の人が居るとか。

初めての状況なんだけど。



弟が1人居るけど
一緒に寝るとかしたかな？？

でも少なくとも抱き合って寝てはいない。

なんか変なの。



そう思いながら瞼を閉じるとそのまま寝ちゃった。




「……A」

しばらくすると裕太に起こされる。



「いつまで寝てるの？もうお昼になるよ」

「………」



裕太がそれを言う？

ムカッとしたけど寝起きで頭が働かない。



「お昼食べたい。もうあと30分くらいで帰らないと」

「えーーー」



何てワガママなの？

でも前向きな裕太は

「んー？なになにー？帰っちゃうの寂しい？」

って言いながら私をギュッてしてくる。



………もう彼には私の常識は通用しないな。



「……なんでもいいの？」

「うん、いい」

「何が出ても文句言わない？」

「言わない言わない」



…ならみんなに否定されてる
スペシャルトースト作ってやるっ！！！



私は完全に戦闘態勢で
起き上がった。

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