アイドルと一つ屋根の下【羽風薫】 (ページ2)

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2話ページ2

『おにーさん好きな子結婚した？』

「、なんでわかるの」

恥ずかしさから何となくそっぽを向く。

もう一連の流れを全て見られているんだから恥じらいなんてないんだけど。

でもなんとなく恥ずかしかった。

『だっておにーさんどう見ても結婚式帰りじゃん？なのにおめでとーって感じじゃないから

ね、慰めてあげよっか』

「はは、遠慮しとくよ」

『えーせっかくJKが慰めてあげるって言ってるのにー』

おめでとーって感じじゃない、まさにその通りだ。

式でもそんな顔してたかな、俺。

申し訳ないという思いと仕方ないから許して欲しいという思いがせめぎ合う。

いやでもあんずちゃんの人生の一大イベントに暗い顔して参加するのも、、、

ん？

「待って今JKって言った？」

『そうだけど』

「君今いくつ」

『17。今年で18』

バリバリ未成年じゃん。

今深夜だよね？

高校生ってこの時間出歩いていいっけ？

待って俺高校生にこんなとこ見られたの？

まずこんな時間に1人でこの子何してるの？

頭の中に次々と疑問が湧いてくる。

さっきまでのセンチメンタルなんてもう欠片も残ってなかった。

「えっと、君家は？こんな時間に出歩いてたら親御さんも心配するよ？」

『えーおにーさん説教タイプ？そーいうの時代遅れだからやめた方がいいよ』

「君ねぇ、」

『私今家出してんの』

「早く帰った方がいいよ。ほら送ってあげるから立って」

『おにーさん人の話聞いてる？』

そう言って差し出した手を振り払う。

さすがに1人で帰す訳にもいかないので送ると言ってみるもあっさり拒否される。

『てか家長野だし。今から帰れるわけないじゃん』

「は？長野？」

『だいたいお金ないし。今日だってここで夜を越すつもりで来たんだから』

「嘘でしょ」

公園に高校生1人で野宿させられるわけない。

かといってもう電車も出てないしタクシーだって長野までこの子を乗せられるほど手持ちがあるわけでもない。

でもこの子が野宿するって分かってて見過ごすのも、、

どうしたものかと頭を抱える。

その時『あ！』と大きな声を上げ、いたずらっ子みたいな顔でこちらを見てくる。

『おにーさん私を拾ってくれない？』

「え？」

『今夜一晩泊めて！』

「いや、いやいやいや」

でもそれ以上の策も思いつかない。

それに家で1人でいるのもしんどい。

一晩だけなら、と思わず手を差し伸べてしまった。