〜６💌〜 ページ6
真緒くんは少し驚いた顔をしたけれど、
すぐ可笑しそうに笑った。
「『俺が好きな女の子』か」
その優しい表情、
恋している顔、
全部私に向けて欲しかった。
貴方に恋人がいると分かっていても、
諦められない私は迷惑かな。
「…元々は、片思いだったんだよな。」
少し寂しそうな声で、
懐かしそうに述べた彼。
真緒くんに片思いされるだなんて、
好きになってもらえるだなんて、
どれだけ贅沢なんだろう。
羨ましい…
「…ってことで、そろそろ飯食いに行くぞ。」
「えー！？今いいところだったのに！」
「馴れ初め、まだ聞いてないよ！？」
「だーめ。
それは２人の秘密なんだよ。」
悔しいけど、
真緒くんは彼女さんのこと、
本当に大事にしていて、
大好きなんだな、と思ってしまった。
どうしてそこまで、
彼女のことが好きなんだろう。
「…私にないものって…」
「…ん？」
スバルくん達が３人でわちゃわちゃ話しているとき、
ボソッと言ったことが、
真緒くんに聞こえていたみたい。
「…彼女にあって、私にないものって…
なんですか？」
「…、」
「どうやったら私は…
Aさん以上の存在に…なれるんですか…？」
私がどうなったら、
真緒くんは好きになってくれるの？
「…全部、」
「…ぜん…ぶ？」
「…お前は十分、A以上だよ。
俺の中で、あんずはとっくに大切な存在。
でも、
俺が好きなのはAだけ。
お前やどんな女の子がどう変わっても、
どんなに魅力的な女の子になっても…
そんなの全く関係ない。
俺はAだけしか見えない。」
頭を鈍器で殴られたような
そんな痛みが走る。
それと同時に、胸が締め付けられた。
「足りないものを補う、とか、
俺が好きな女の子になるとか…
そんなに俺に振り回されないでくれよ。
俺は今のお前が１番好きだぞ？」
真緒くん、
私が欲しいのは、その『好き』ではないの。
『貴方が１番好きな私』じゃなくて、
『貴方の１番』になりたいんです。
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