〜12💌〜 ページ12
「ごめん、ちょっといいか？」
「…はい？」
きょとん、として俺を見つめる彼女。
「女バスのタイマー係の人だよな？
俺、タイマー慣れてなくてさ。
設定とか色々教えて欲しくて。」
「あ、うん。
これ運んだら教えるね。」
「お、ありがとな！」
にっこり笑って頷いてくれた彼女。
普通に良い子だなっていうのが、その時の印象だった。
「真緒〜！私に会いに来たの〜？」
「１ｏｎ１する？」
「あはは…」
女バスのコートに入ったらこれだ。
滅多に入るもんじゃないけど。
「あの子に用があるだけだって。」
「ああ、A？」
「つまんないの〜。」
そんなことを言われながらも、
Aと呼ばれた子のところに向かう。
「あっ…わざわざ来てもらっちゃってごめんね」
「いや、俺が頼んだんだから当たり前だって」
俺が来るなんて思ってなかったのか、
彼女は少し驚いた顔をしていた。
「ええっと、最初は電源を押して…」
初めの設定だけ教わると、
黄緑色のノートを渡された。
「男バスと女バスの練習メニュー、
時間設定とか共通してるらしくて。
私は多分大丈夫だから、これ使う？」
中を開けば、
綺麗な字で見やすく書かれたタイマーの設定手順。
練習メニューを聞いたら、
これに沿ってすぐにタイマーをかけられるようにしてあった。
「うっわ、すげえ助かる。
ありがとうな！」
そのときの優しい笑顔を、
部活が終わるまで忘れられなかった。
「真緒、テストどーだった？」
「ん〜、どうなんだろ…。」
「は？いやお前20位じゃん！」
一学期の期末テストも返却され、
全体で20位。
悪くはないんだろうけど。
あ、クラスでは8位なのか。
「真緒で20位か〜、
１位知りたくね？」
「一応個人情報だし、
あんまり聞きまくって良いことじゃないと思うぞ〜。」
既に行動に移そうとしている友人にそう告げ、
部活に行く準備をする。
「Aすごすぎ！！」
「マジで！？天才！？」
A…？
隣のクラスから聞こえた声に、
少し驚く。
「なぁ聞いた！？
隣のクラスのAAって子､
学年１位だって！！」
マジ！？
Aって…アイツだよな…？
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