【マギ】愛書家少女は恋を知らない。【ジャーファル】

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私は今なにをしてるんだろう？

そんな疑問がさっきから頭を横断している。

が、飴のためですなんて言い訳をして手を動かすこと30分。


｢う…｣

そんな声と共にジャーファルさんが頭を上げるのが視界の端に映った。


『やっと起きましたか、ねぼすけさん。』

｢は…？……うわ！？ミュセル！？｣

『ミュセルですけど何か問題でも？』


不機嫌そうに返しても、ジャーファルさんは頭が回らないのかしばらく固まった。

そして徐々に眉を寄せた。


｢今12時半じゃないですか。こんな時間まで君なにやってたの？書類も全然届けに来なかったし。｣

『寝てました。』

｢はぁ！？｣

『おっと、あなたにとやかく言われる筋合いないですからね。
居眠りしてたのはお互い様ですし？』


つーんと済ました顔で言えば、露骨に舌打ちをするジャーファルさん。

だって事実ですもん。ジャーファルさんも徹夜続きとはいえ、仕事中に寝てたし。


ま、とにかく起きたなら私は寝させてもらおう。

別に本を読んでて１日徹夜したなんてザラにあるが、好き好んで徹夜なんてしたくない。

というわけでペンを片付けていたら、ジャーファルさんが不思議そうに言った。


｢ミュセル、それ何？｣

『は？何って…政務の仕事ですけど。』

｢え、は！？｣

『なんですか……あぁ、予算案は全部終わらしましたよ。』

｢全部！？この短時間で！？｣

『な、なんです…？そんなに変ですか…？』


少し眉を寄せてそう聞き返す。

というより思いっきり睨んだが、ジャーファルさんはバッと私の手を握った。


『ちょ、あの…？』

｢ありがとうございます！！｣

『……はい？』


顔を上げれば滅多に見ないようなジャーファルさんの嬉嬉とした笑顔。

そして困惑する私を置いて更に続ける。


｢それ明日までだったんでかなり助かったよ！
ミュセルもたまには役に立つんですね！！｣

『………ちょっと待って下さい、何気にけなしてません？』


けれど不思議と嫌な気分はしない。

ていうかむしろ………いや、なんでもない…


『……じゃ、私そろそろ帰りますんで。』

なんだかいたたまれない気分になって私は目をそらし、パタパタと政務室を後にした。


と、そこで初めて気付く。

『あぁ…飴もらうの忘れてた…』


自分の失態を恥じながら戻ろうとしたが、その時ジャーファルさんのむせ返す音と叫び声が聞こえた。


｢これ醤油じゃねえか！！｣


………そうだ、コーヒーを醤油に変えるイタズラしてきたんだった。

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