31ページ ページ34
『……ん。…つい、た。』
しばらくスタスタと黙って歩いていた少女……ミュセルは、大きなホテルの前で立ち止まって振り返った。
「いやぁ助かったよ!ありがとうミュセル!」
そう言うシンドバッドをミュセルは相変わらず無視し、そのまま立ち去ろうとする。
が、後ろから聞こえた大きな声に思わず足を止めた。
「シン!!一体どこ行ってたんですか!!!!」
ホテルの中から出てきたのは白髪の男。
怒った様子の男にシンドバッドはのんきに手を振る。
「おお!ジャーファル!いやぁちょっと道に迷っててね。」
「…ったく、だから付いていくと言ったのに……」
ジャーファルは続けてぶつぶつと小言を唱える。
シンドバッドの部下であることを悟ったミュセルは、止めていた足を動かして今度こそ立ち去ろうとした。
しかしジャーファルが、先程まで自分の主の隣に立っていたミュセルにようやく気がついた。
「…あれ?シン、この女の子は?」
『………誰が…女の子、だ。……こんのクソガキ………』
「………はい?」
シンドバッドと同様、こんな可憐な少女からそんな暴言が飛び出すとは思っていなかったジャーファルは思わず笑顔を固まらせる。
しかし流石に営業スマイルは崩さず。けれど言葉の方は抑えきれなかったようで、笑顔のままシンドバッドに向かって聞いた。
「……シン、誰ですかこのクソ生意気なガキは。」
『あ?』
「す、ストップストップ!
この子はここまで案内してくれたミュセルだ!
ていうかミュセル、年上のジャーファルにクソガキは流石に………」
『………え?』
「ん?」
『……………年、上?』
「はぁ?」
どうやらミュセルは本気でジャーファルが年下だと思っていたようで。
驚いたように目を瞬かせ、続いて思いっきり地雷を踏んだ。
『………背、ひっく……』
「あ?てめえ殺すぞこの雑魚が。」
「おいおいおい!!筆頭に戻ってるぞジャーファル!」
殺意むき出しの元暗殺者に武器を向けられても、怖がることなくむしろ涼しい顔のミュセル。
そんな表情に少し苛立った様子のジャーファルは露骨に舌打ちをしながら武器をしまう。
シンドバッドは、珍しく初対面の相手に剣呑なジャーファルに思わず苦笑いをこぼした。
109人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紀美野愛(プロフ) - ranuさん» ほんとですか!ありがとうございます!私も白雪姫の回は気に入ってるのでとても嬉しいです笑 (2016年7月21日 9時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
ranu - 白雪姫の話めちゃくちゃ面白かった!!!ミュセルとジャーさんのツッコミ確かになwwww都合良過ぎるししかもsi体愛好家の●●で目覚めるってwwwww・・・・まぁとにかく、めっちゃくちゃ吹き出しました。。。。 (2016年7月20日 20時) (レス) id: a075aa479c (このIDを非表示/違反報告)
紀美野愛(プロフ) - カマズミさん» あぁ!ビーチバレーか!ありがとう!落とし穴wwww (2016年3月7日 21時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
カマズミ(プロフ) - フツーにビーチバレーとかかなー、って思ったら下にすごい人がいたww (2016年3月7日 21時) (レス) id: f71029ae57 (このIDを非表示/違反報告)
紀美野愛(プロフ) - むすさん» 待って笑ったwwwww館長さんが真顔で落とし穴作ってるとこ想像しちゃったんだけどwwwww (2016年3月7日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ