30ページ ▽たまには昔話を。 ページ33
〜Noside〜
時は遡ること5年前。
ある日、異国で道に迷ったシンドバッドは赤い本を抱えたおさげの少女を引き止めた。
「やあお嬢さん。ちょっといいかな?」
肩に手を置いてそう言うと、少女は三つ編みを揺らして振り向く。
その少女のあまりにも綺麗な顔立ちに、シンドバッドは内心驚いた。
そんな可憐な少女はズレたメガネを少し直し、何でもない顔で言った。
『………は? 気安く、触んじゃねえ……よ。…くそじじい。』
「…………え?」
そう、確かに言った。
まだ20歳半ばのシンドバッドに対しはっきり「くそじじい」と。その可愛い顔で。
事態が飲み込めないシンドバッドは思わず笑顔を引きつらせながら、それでも笑って手を離した。
「そ、それは失礼した。
それでお嬢さん。少し道を聞いてもいいかな?」
『ちっ』
「え!?いま舌打ちした!?」
今度は露骨に顔を歪め、舌打ちする少女。
もはやシンドバッドのHPは0に近い。
そんなシンドバッドを見て、流石にやりすぎたと思ったのか思わなかったのか。
少女は不機嫌そうだが聞き返す。
『……で、どこ……行きたい、の…?』
「あ、あぁ。海の横のホテルなんだ。
そこに俺の部下もいるはずなんだが迷ってしまってね。」
『………10m先を右。57.5mを左。
三叉路を左に行って84m先を右。
そのまま213m直進して右手の路地入って左。』
「え、ちょ……いやいや待って!?覚えれるわけないから!?」
先程とは打って変わってスラスラと、しかも無駄に細かく説明した少女に思わず大きな声で言い返したシンドバッド。
うるさいとでも言いたげに顔をしかめた少女は、少し迷った末にため息をついて言った。
『……いい、よ。連れてって…あげる。』
「そうか!ありがとう!」
ぱあっと笑顔になって返事をしたシンドバッドをそのままスルーしてスタスタと歩き出した少女に、シンドバッドは懲りずに話しかける。
「そう言えば名前を言ってなかったな、俺はシンだ。
君の名前は?」
『……………ミュセル。』
* * *
唐突の過去編です←
お先に言わせていただきます。
ここはシリアスにする気は毛頭ありません。
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紀美野愛(プロフ) - ranuさん» ほんとですか!ありがとうございます!私も白雪姫の回は気に入ってるのでとても嬉しいです笑 (2016年7月21日 9時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
ranu - 白雪姫の話めちゃくちゃ面白かった!!!ミュセルとジャーさんのツッコミ確かになwwww都合良過ぎるししかもsi体愛好家の●●で目覚めるってwwwww・・・・まぁとにかく、めっちゃくちゃ吹き出しました。。。。 (2016年7月20日 20時) (レス) id: a075aa479c (このIDを非表示/違反報告)
紀美野愛(プロフ) - カマズミさん» あぁ!ビーチバレーか!ありがとう!落とし穴wwww (2016年3月7日 21時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
カマズミ(プロフ) - フツーにビーチバレーとかかなー、って思ったら下にすごい人がいたww (2016年3月7日 21時) (レス) id: f71029ae57 (このIDを非表示/違反報告)
紀美野愛(プロフ) - むすさん» 待って笑ったwwwww館長さんが真顔で落とし穴作ってるとこ想像しちゃったんだけどwwwww (2016年3月7日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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