【マギ】愛書家少女は恋を知らない。【ジャーファル】

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ヤムライハさんはその後、｢とりあえず術式を完成させてくる｣と言ってまた研究所にこもってしまった。


んー、髪に違和感……

というかさっきから周りの人の目線が痛い。

ここに来てからずーっと一貫して三つ編みだったから、そりゃ違和感あるわよね……


けれど何人かは｢似合ってますね｣と声をかけてくれた。

まぁ別に、髪が短かろうと長かろうと特にどっちでも構わないし、しばらくはこの髪型でいてもいいかな。


なんて考えていたら、目的地の王様の部屋に着いた。

小さくコンコンとノックしてドアを開ける。


『ミュセルです。
頼まれてた資料、持ってきましたよ。』

そう言ってドサッと資料を置くと、珍しく仕事をしていた様子の王様は顔を上げた。


｢あぁ、ミュセルか。ありが…………え？｣

『？ …………あー…髪、ですよね。』


私が髪をつまんで少し笑っても、王様は固まったまま目を瞬かせる。


｢え、え……え？
どどどどうした！？失恋でもしたのか！？｣

『そんなわけないじゃないですか。』

｢お前、幼い頃に俺が “たまには髪短くしてみたらどうだ” って言っても絶対拒否したのに！｣

『…………でしたっけ？』


覚えてないわよ、そんなこと。

というか髪が短くなっただけでなんでそんなにびっくりするんだろう。


『単にヤムライハさんの魔法で間違えて短くなっちゃっただけですよ。』

｢なるほど、そういうことか……｣

王様はやっと納得したように頷いた。


｢今までミュセルの髪型なんて三つ編みなんて見たことなかったからな。
しかしその髪型………｣

『はい？』

｢びっっっくりするくらい似合ってるぞ！｣

『……そりゃどうも…』


ヤムライハさんにも言われたな…

そんなに似合ってるのかしら？

でもよく考えたらおかっぱとぱっつんって結構子供っぽくない…？


『では、私は図書館に戻りますね。
おじゃましました。』

｢ああ、ありがとう｣


そんな声を聞き届けて廊下に出る。

『……あ。』


と、運悪く緑の政務官様と出くわした。


しかしジャーファルさんは私の方をチラッと見て、少し目を見開いてから頭を振り、そのまま通り過ぎようとした。

…………なんだ今の動作。

…というより………



『私が嫌いなのは知ってますけど、無視して通り過ぎるのはどうかと思いますよ？ジャーファルさん。』


｢うわ……人違いじゃなかったし………｣



…どういう意味よ、それ。

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