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「なのに安吾は取引があったと嘘をついた。
"わざわざアリバイ用の骨董時計まで持ち出して"ね。
そうまでして、私達に密会を隠したかった理由は何だ?」
__今の状況のようになることを、見越していたからじゃあないのか?
太宰の冷たい瞳はそう云っていた。
__取引は何時に終わったの?
酒場で安吾の紙包みを見た時、太宰が不意に訊ねたのを思い出した。
思えば太宰は、あれを一瞥しただけで今の推理を組み立てていたのだ。
そして確認の為に質問した。
__安吾。
ミミック。
襲撃。
得体の知れない何かが持ち上がりつつある。
「A、気をつけろ。
今事態は、君のコップのふちからこぼれ落ちるぎりぎりの所にある」
太宰は云った。
「何か一つでも新たな事態が投げ込まれれば、水はコップからぶちまけられ、君ひとりの手には負えなくなってしまう。
ここの始末は私達がやっておくよ。
安吾を頼む」
「ああ」
太宰と私は視線をかわし、それから路地を裏道のほうへ向けて歩き出そうとした。
それに気付いたのはその時だった。
"襲撃者が起き上がっている"。
「太宰!」
私が叫ぶのと、襲撃者が拳銃を構えるのがほぼ同時だった。
「動クナ……」
襲撃者がくぐもった声で云った。
私か、あるいは太宰の部下達が襲撃者を撃つには、襲撃者は太宰に近すぎた。
そして銃口は太宰に向けられていた。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時