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ここに来るまでに宅地の庭をふたつ突っ切り、私有地のガレージをみっつ飛び越えた。
敵がこの土地に慣れていなければ、背中くらい見えてもおかしくはない。
そう思った瞬間、建物の隙間からナイフを持った人物に掴みかかられた。
牛を解体するようなナイフが横にひらめいた。
私は顔を横に倒してその一撃を避けた。
刃の先端が耳の端をかすり、冷たく尖った感触がした。
私はもつれ込むように体当たりする相手の胴体を足の裏で思い切り押した。
反動で私は塵だらけの路地に投げ出されたが、相手を引きはがすことには成功した。
私は襲撃者を見た。
相手は灰色の襤褸をまとった、国籍不明の男だ。
一見放浪者にも見える汚れた身形だが、顔の黒い汚れには指でなすった跡があった。
わざと自分でつけたのだろう。
小刻みに体を縦に揺すりながら、左手のナイフを逆手に構えている。
両肘を上げ、右手が顔を庇うように構えられているのは、敵の近接攻撃から最小動作で急所を守り、素早く反撃に転じる構えだ。
全身から、訓練された闘犬のような殺気が噴き出している。
その外見から、いくつかのことが見てとれた。
彼は私をマフィアだと知っており、そのことで縮み上がったり隙を見せたりする人物ではない。
おそらくは、鏡越しにちらりと見た狙撃手と同一人物だろう。
そして疑いの余地なく、彼はここで私を殺す心算だった。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時