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Noside


同じ時刻、太宰は港にいた。


横浜の港湾から海沿いに十分も歩くと、人工林に囲まれた倉庫街に辿り着く。

そこには登録番号を削り落とした小型船舶や、世界各地から集まる盗難車両や、爆薬を精製するための大型分離機が並んでいる。

近隣の住民はおろか市警でさえ用が無ければ立ち入らない、ポートマフィアをはじめとする黒社会が管理する、謂わば地雷地帯だ。


その沿岸に今朝、三人の人間の死体が打ち上げられた。

「市警に連絡が行かぬよう手を回せ。
それから掃除屋を呼べ。
死体を運ばせる」


死体が打ち上げられた現場では、黒服の男達が黙々と動いていた。

ポートマフィアの構成員達。

街の"ならず者"である構成員たちも、今は表情を消して、ただ命じられるまま作業を進めている。


理由はふたつ。

打ち上げられた死体が彼らの同僚__ポートマフィアの構成員のものであるため。

そして事態の重さから、現場に間もなく五大幹部のひとりが視察に来るためだ。

「遺体の構成員に家族が居たか調べよ。
もし居れば……」

現場を指揮しているマフィアは、そこで一度言葉を切った。

「家族には私から説明する」


現場を指揮するのは、年かさのマフィア員だ。

白髪に葉巻、黒外套も背広も、残らず糊を利かせた、紳士然としたマフィア。

最古参のひとり、広津柳浪だ。


広津は懐から螺子巻き式の金時計を取り出して、時刻を確かめた。

「間もなく幹部がお着きになる。
それ迄に被害の様相を纏めておくのだ」

「おっはよー皆さーん」


広津の言葉とほぼ同時に、人工林の向こうから声がした。


*

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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時

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