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ロノくんのやや呆れを含みつつも、怒りの籠った声が辺りに響く。猫ちゃんは今にも泣いてしまいそうな程、項垂れていた。

「すいません…。お腹が空いて、どうしても食べたくなったんです」

「だからって盗み食いをしていい理由にはならねぇだろ!」

「うっ……。はい…」

図星を突かれたのか、そのまましゅんとしている猫ちゃん。

(可哀想に…。何か助け舟でも……)

そう考えを巡らせていた時。

「……ロノ。…主様の食事は良いのか?」

同じく猫ちゃんを可哀想だと思ったのか、バスティンくんがロノくんに対して、主様の食事の事を指摘する。指摘されたロノくんは「やべっ!そういや、そうだった!」と言い、慌てて厨房に向かった。

「…全く、ロノったら直ぐ周りが見えなくなっちゃうんだから。……主様の食事を作るのを忘れていたなんて、信じられないよ」

と、厨房のドアを見つめながら、今まで黙って様子を伺っていたフルーレくんがそう呟いた。ロノくんが居なくなった事で急に静かになった食堂。沈黙を破ったのは猫ちゃんだった。

「……あの、僕ってどうなるんですか…?」

「…どうなるも何も、そもそもキミ何者な訳?…猫なんだよね?何で喋れるの?」

猫ちゃんの一言に、フルーレくんはそう質問を返した。フルーレくんの言葉はその場に居た全員が気になっていた所。猫ちゃんは、暫く沈黙した後、「分かりません…」と呟いた。

「…分からない?それじゃあ、猫ちゃん。キミは一体どこから来たのかな?」

「え、えっと…」

猫ちゃんは私の質問にも、しどろもどろになるだけで、答えは出なかった。

「バスティンくんは確か、その場に居たよね?どんな状況だったのかな…?」

「…空から落ちて来た。それだけだ」

「ふむ…。それは、また不思議だね」

(…そもそも喋る猫ちゃんってだけで珍しいのに、この猫ちゃんは自分の事を、まるっきり分かっていないようだ…。もしかして…記憶喪失…?)

流石に考え過ぎかとも思ったが、私がそう思ったと同時に猫ちゃんが「…実は、僕、…ここに来る前のことは何も覚えてないんです」と言った。その一言に「ガタッ」と誰かが勢いで立ち上がる音が響く。音がした方向を見ればフルーレくんが立ち上がっていた。

「…は、はぁ!?何なの…、キミ…。

喋るし、空から降ってきたし…。さらに記憶喪失だし…。キミ、怪しすぎ!もしかして天使のスパイなんじゃないの?」

フルーレくんはそう猫ちゃんを指差し、疑惑の表情を浮かべた。

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いちごみるく(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!色々大変だとは思いますが、どうか物語の完結まで頑張ってほしいです…! (2023年2月20日 1時) (レス) @page7 id: f6b69ae75f (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 2023/02/19 (2023年2月19日 12時) (レス) @page7 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - 星空ブリキさん» 夜分遅くに返信失礼します。コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて感激です(;;) 応援のお言葉が執筆のモチベに繋がります…!これからも頑張りますね! (2022年7月18日 0時) (レス) id: ed110b5660 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ - 昨日あくねこを知って、それからハマりました。めちゃくちゃ面白いです、頑張ってください! (2022年7月17日 7時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - 瑠華さん» コメントありがとうございます!そして、返信遅くなり大変申し訳ありません。続編、やっと入りました。遅筆ですが、楽しみにして頂ける様頑張ります! (2022年7月10日 0時) (レス) id: ed110b5660 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みょん | 作成日時:2022年6月29日 18時

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