59 ページ10
.
「ごめんね、変なところ見せちゃって」
「いえ………、」
近くのカフェに入り、コーヒーとカフェオレを頼んでくれて
いざ目の前にすると、聞きたいことは沢山あるはずなのに
なにひとつ言葉に出来ないでいた。
「裕太くんから何も聞いてない?」
そんな私を察してくれたかのように口を開いた遥さんに
私は小さく頷いた。
「……そう、」
ちょうど飲み物が届いて
グラスを手にする遥さんの指先が
私の視線を離せなくした。
だってその薬指には、
「え、その指輪………」
「うん、私ね結婚するの。」
はっきりと狼狽えることもなく答えたその言葉に
指先をわざと見せつけるようにしたのかと思うほど。
「裕太と……?」
「ううん、さっきの人と。
裕太くんとは別れたから」
「え……っ」
ストローを動かす度に
その指先がキラキラ光ってる。
それから目を離せないまま
全く頭の中で理解が出来ない。
結婚……?
裕太と別れた……?
「……本当に裕太くんには悪いと思ってる。
でも…、耐えられなかった。
裕太くんが私を想ってくれれば想ってくれるほど
私はその愛に答えられなくて」
「でも遥さんっ、
最初からそのつもりだったんじゃないんですか?
裕太のことを好きなわけではないって」
「うん………、でもやっぱりダメだったの。
そこまで悪者にもなれなかった………って、
別れて他の人と結婚だなんて、十分悪者だけど」
くすっ、て悲しそうに笑うその目は少しだけ潤んでて
彼女は彼女なりに色々考えて、苦しんだのかもしれない。
………とは思うけど、
「じゃあ裕太はどうするんですか……?」
「………かき乱しちゃって、ごめんなさい」
私の質問に答えることはせずに
小さく頭を下げる遥さんに、私はもう言葉が出なかった。
そのままカフェオレに手をつけることもなく店を出ると
辺りはもう暗くなり始めていた。
1397人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はちみつみゆ(プロフ) - みちこさん» ありがとうございます〜!相変わらずの北山先輩エンドで申し訳なかったんですけどそう言ってもらえると安心です、助かります(;▽;)北山先輩とのその後はいつか書けたらいいなぁ…と思ってますので、北ニカ作品共々また宜しくお願いします♪ (2020年9月27日 13時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - あやかさん» こちらこそありがとうございました!結局行き着くとこは北山先輩とのハピエンでなんだか私の願望みたいになっちゃうとこ直したいんですけどね。笑 私もいつかは番外編も書きたいと思ってますのでその時はまた宜しくお願いします♪ (2020年9月27日 13時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - mitsuwakoさん» ありがとうございます!お陰様で完結させていただくことが出来ました(^^)ハラハラしてくださったなら良かった…安心…笑。可愛いとこもあるのが北山先輩のいいとこですよね♪こんな先輩私たちの前にも現れないもんですかねぇ…笑。長い間ありがとうございました! (2020年9月27日 13時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつみゆ(プロフ) - ちょうすけさん» ちょうすけさん!本当に毎度毎度いつもありがとうございます〜!涙 続編ですね、いつか本当に書きたいんですよねぇ裕太と遥さんも交えて(^^)ニカちゃんメインの方もまた更新頑張っていくのでまた宜しくお願いしますね♪ (2020年9月27日 13時) (レス) id: cbb2d30d12 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - お疲れ様でした!ミツ担故北山先輩とハピエンで終わってほしかったので^_^この結末は嬉しいです!次は北ニカですか^_^そちらも楽しみですが主と北山先輩との続きも気になったり(^^)またお邪魔します^_^ (2020年9月18日 17時) (レス) id: c83a8a8018 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2020年7月10日 15時