泣き顔マニア ２

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「なにかお探しですか？」


「あ、はい。
誕生日プレゼントを……」





そのままやって来たのは
ブランドのアクセサリーショップ。

一応誕生日なわけだし
ご飯屋さんに食べに行くわけでもないから
プレゼントくらいはちゃんとしたのをあげないと。





「恋人に贈られるものですか？」


「あ………、いや………、はい………？」




"恋人"ではないんだけど
いや、でもこういう場面では恋人ってことにしといてもいいのか、と
しどろもどろになってると
察したように笑顔で対応してくれた。

先輩がどんなアクセサリーが好きなのかも分からないから
イメージを伝えて、私なりに先輩に似合いそうなものを。





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「ありがとうございました」




最後まで丁寧に対応してくれた店員さんにお礼をして
小さな袋を手に店を出る。

なんとなく、ネックレスも指輪もしてないイメージだったから
ピアスを買ってみた。

喜んでくれるかな、って想像してみたけど
嬉しそうにしてくれる姿しか浮かばなくて、なんだか幸せな気分になる。





こういうのっていいなぁって、
本当にこの時は思ってた。

裕太のことよりも
先輩のことだけを考えていたはずなのに━━。





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「一応下着屋さんにも行こうかな……」




一応ね？
何があるか分かんないし、って誰にしてるんだか分かんない言い訳をしながら
お店に向かって歩いていると、






「遥さん……？」




向こう側に遥さんらしき人が見えて
その隣には見知らぬ男の人。

裕太かな、って心臓が跳ねたけど、





…………違う。





背格好は似てたけど
髪型も、服の系統も
そもそも雰囲気もなにもかも。

裕太とは別人の男の人と
腕を組んで歩いている遥さんがそこにはいた。







「遥さん……っ！」





気付けば駆け出して、彼女の腕を掴んでた。

私に気付いた遥さんは
一瞬驚いた顔をしたものの
すぐに表情を戻し、





「渉さん、ごめんなさい。
ちょっと後輩と話したいから、先に帰っててもらっていいかな」


「うん、分かった」




気をつけてね、って優しく笑って私にも軽く頭を下げてくれて
その人は行ってしまった。

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