泣き顔マニア ２

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「……出ない、」




そのまますぐに店の外で裕太に電話をかけてみるけど
何度かけても繋がらない。

ここで私が裕太と接触したところで
何も変わらないのかもしれない。


けど、やっぱり放っておけないから。





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━━━━ピンポーン、



「裕太？いるんでしょ？」



いてもたってもいられなくて
裕太のマンションに来ると、ここでも出てくれない。

飲みに行くとか滅多にしないし
家にいると思うんだけどな……。




「ゆーたー！いるのは分かってんだよ」


「だれ〜？」




ようやく反応してくれたインターホン。

心配してた私の気持ちとは裏腹に
凄く陽気そうな声が聞こえてくるんだけど……？




「Aだけど、開けて？」


「おお〜Aじゃ〜んっ」




え？？

困惑する私の前でガチャっと開けられた扉。

そして顔を赤くして
ヘラヘラ笑ってる裕太の姿。





「…………もしかして酔ってる？」


「酔ってないよーん」


「酔ってるじゃん……、ってお酒くさっ！」


「んふふ」





楽しそうに笑った裕太は
入りなよ〜って、簡単に部屋の中へと導いてくるし。

拍子抜けしながらも
お邪魔します、と控えめに足を踏み入れた。





……懐かしい。

前に何度か来たことはあって
来る度にひとりでドキドキしてた。

何かあるんじゃないかって期待をしては
何もなく終わって、ガッカリしてたっけ。






「裕太がひとりでお酒飲んでるなんて珍しくない？」


「ん〜？そう？」


「飲みに行ったって飲むことなんてほとんどないのに」


「そうだね〜なんか飲みたい気分でさ〜」




ドサッ、てソファに腰掛けて
またテーブルの上の缶チューハイに手を伸ばしてる。

"飲みたい気分"だなんて
遥さんのことなんだろうけど……。




「私ね、さっき遥さんに会ったよ」


「え？」


「全部……、聞いてきた。」




私も裕太の隣に腰掛けて
横を見ると、お酒で潤んでる目が私を捉えてくるから
それだけで堪らなく、ドキドキしてしまう。

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