泣き顔マニア ２

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「そっか………、そっかそっかっ」


「………大丈夫なの？」




無理に明るくそう言って見せてるけど
明らかに動揺して、瞳が揺れてる。




「だぁぁいじょうぶ！
ほら、俺元気でしょ」


「元気なフリしてるだけじゃん……」


「…………、」


「お酒で誤魔化そうとするなんて
裕太らしくないよっ」





無理した元気な姿を見たいわけじゃない、
ちゃんと私には弱いとこも見せて欲しいし
無神経でも、遥さんとのことを相談してほしい。



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「裕太……？」




何も言わなくなったから
伺うように裕太の香りがするくらい近くまで、顔を近づけた。




「………どうしたら良かったんだろ、俺」


「え？」


「俺のことなんて、遥さんはちっとも好きじゃなかったんだよね」


「そんなこと……っ」


「そうでしょ、気付いてたよそれくらい」





悲しそうに笑う姿が
さっきの遥さんと重なった。




「付き合って、俺のこと好きになってもらえればって思ってたのに…………」




無理だったわ、って。

その潤んでる瞳が
お酒のせいなのか、涙なのか分かんないけど
その姿に耐えきれなくて
気付いたら目の前のおっきな体を抱き締めてた。






「………私がいるじゃん……」







裕太の体温を感じて
その温かさがじんわり伝わってくるから、私まで泣きそうになってくる。





「私だったら絶対裕太から離れていかない…っ！
ずっと好きでいる……っ」





だってずっと好きだったんだから。

相手にされなくても、他の人しか見てなくても
私には裕太しかいなくて、裕太しか無理で。






「私じゃダメなの……？」





体を離して裕太を見上げると
ポロって涙が零れてしまって、頬が濡れていくのが分かった。





「何でそんなに俺がいいの……」


「分かんないけど……、裕太が好き」







こんなに近くで見ることなんて初めてで
吸い込まれそうなのに、目が離せない。

そんな私に、裕太もそのまま見つめてくるから


どちらともなく近付いた唇が
触れるまでの時間が、とてつもなく長く感じた。

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