泣き顔マニア ２

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「先輩、他んとこ行くんだってね」


「あ………うん。
裕太も聞いたんだ」





その日の帰り道
隣を歩きながらサラリとそう言われて
動揺を隠すようにそのまま真っ直ぐを見ながら歩き続けた。





「ビックリだよね、あのおっきな企画に呼ばれるなんて」


「でも北山先輩、人当たりいいし
仕事も出来るからな〜納得っちゃあ納得」


「……だね」


「よし、チャーハン行くか」





わざわざ一歩前に出て私の顔を見るように
首を可愛く傾げながら。





「ふふ、また〜？」


「お腹減ったんだもーん」




よくもまぁ飽きもせずにいつもチャーハンばっかり食べれるもんだな、と
美味しいから全然私も食べれるけどさ。

なーんて思いながら歩いていると





「…………あ、」





ちょうど歩いてた目の前のお店から出てきたのは
懐かしくも見慣れた、綺麗な立ち姿。





「遥さん………」





そして、裕太の声で聞くその名前。


思わず立ち止まってしまったもんだから
遥さんに気付かれてしまって、
きっと今の私たちとは対照的に笑顔をこちらに向けてくれた。






「Aちゃん、裕太くん。
久しぶりだね。
ていうかAちゃんと街で会う確率高いよね〜、行動範囲似てるのかな」




ニコニコと何事もなかったかのように話してくれるのは
遥さんが大人なのか、もう何も気にしてないのか。

少なくとも私と裕太は
きっとめちゃくちゃドキドキしてる……。





「遥さん、お買い物ですか？」


「うん、そうなの。
ちょっと生活用品を見に来たんだけどね」





今買ったのであろうキッチングッズをガサゴソ見せてくれてるけど
私はそれよりも隣にいる裕太の表情の方が気になる。

どんな顔して、どんな気持ちなんだろ……。





「裕太くん……、元気してる？」


「あ……、はい」


「そっかそっか、良かった」


「遥さんは？元気っすか？」


「元気よ〜、新しい仕事も始めたし」





新しい仕事？

結婚するって言ってたのに
家庭に入らずに仕事をするのかな、って思った瞬間に
遥さんの薬指に目が止まった。





「………あれ？」





この前目に止まった時と違う、

薬指にあって驚いた指輪が

ない。

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