泣き顔マニア ２

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「？先輩、どうしました？」


「あ、いや、お疲れ」




………なんだか様子が変だった。

不思議に思う私に
どしたの？って裕太が聞いてくるけど
私も分かんないし………。


でもこの時
言おうとしてたであろうことが
次の日にはもう判明してしまった。







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＊＊＊＊＊

「北山先輩が本社に………？」


「そうなんだって〜。
本社のおっきな企画に呼ばれたらしくって」


「そう、なんですか……」





たまたま休憩で一緒になった先輩からそんな噂話を聞いて
なんだかいても立ってもいられなくて
急いでご飯をかきこんで、休憩室から飛び出した。





「いた………っ、北山先輩っ！」





喫煙室から出てきた北山先輩を見つけて声をかけると
おー、ってタバコをポケットに突っ込みながら。





「なに？どした？」


「先輩、本社に行くって本当ですかっ？！」


「あーうん、もう聞いた？」


「……ってことは、本当なんだ……」




決定的だとは分かってても
いざこうして本人から確認を取れてしまうと
じわじわと何と言ったらいいのか分かんない気持ちがふつふつと。





「………なんだよ、その顔は」


「………なんでしょうか、」




自分でも分かんないけど
急なことすぎて気持ちが追いつかない。




「ここは俺がいなくてもまー
回るっちゃあ回るしな」


「そんな……。
先輩がいないと困る後輩も先輩もいっぱいいます」


「Aも？」


「…………私も、」




例外ではない、はず。




「あーあ、もうそんなこと言うなっつーの」


「だ、で、ですよねっ、ごめんなさいっ」




また私は……っ。

気持ちに答えられないくせにこういうこと言うから
無駄に先輩のこと傷付けちゃうのに……。






「でもまぁ地球の裏側行くわけじゃねぇし
会おうと思えばいつでも会えんだろ、
会おうと思えばな」


「会おうと思えば……」





私たちがわざわざ約束をして
"会おうと思えば"ならない理由なんて………


ない。





「とりあえずあとちょいだけど、よろしくな」


「………はい、」





毎日会えなくなる。

きっともう会うことはなくなる。


そう考えただけで
今まで感じたことのない感情に襲われて
私はしばらくその場から動けずにいた。

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