泣き顔マニア ２

５３ 北山side ページ4

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「先輩ってリスみたいですね〜」


「リス？」


「ほっぺたパンパンに食べ物詰め込むから」


「一口はでっかく食った方が美味いんだもん」


「ふふ、可愛いですね」


「………、」




な、なんだ、そっちこそ凄ぇ可愛いんだけど。

初めてAから誘ってくれたし
ちょっといい店にしようかと思ったら
いつもの店でいいって言われて。

いつも玉森達を連れてきてる居酒屋なわけなんだけど………、




「先輩？」




なんだかいつもと雰囲気が違う。

"後輩"じゃなくて
"女の子"になってる気がする。




「あ、いや、なんでもない」


「もしかしてリスに怒りました？」


「そうだよ、オコだよオコ」


「……裕太みたいなこと言わないでください」




あ、やべ。

知らぬ間にあいつの言葉遣いがうつってた。




「ぷんすかぷんだな、ぷんすかぷん」


「……昭和感が半端ない、」


「うるっせー」


「ふふふ」




玉の名前が出たっていうのに
ちゃんとまた笑顔に戻った。

前向きに考える、ってこうも違うのか。

………可愛いかよ。(デレデレ)





「どうする？
このあとうち来る？」


「行かないですよ、さすがに」


「あ、そう………」




即答で平然と答えてる。

でもやっぱそりゃそうか、
やっぱそこの一線は守るんだな。






「なんか誘い方が凄く慣れてますよね」


「んなことないっしょ」


「んなことあります！
サラサラーっと流れるように今家に誘われたし」


「でもAは流されなかったじゃん？」


「もうちょっとお酒入ってたらやばかったです」


「え？！じゃあもう一杯、」


「飲みません〜」





もうっ！て怒ってる顔まで可愛い。


やべぇな……。
こんなんじゃもしAの気持ちが俺に傾かなかった時
かなりのダメージを受けそうな気がする。

そうは思うけど
この幸せすぎる時間を手放したくはないし。

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