泣き顔マニア ２

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「食った〜！腹破裂する」




あれからお酒も飲みながらどんどん食べて
ついに限界が来たのか
座った状態から後ろに倒れ込んだ。




「ハンバーグ全部食べるからじゃないですか」


「だって美味かったし、食いたかったし」


「残しておいて冷凍しておけばいつでも食べれたのに」


「はっ！そうか！その手があったか！」


「ふふ、でもそんなに喜んでくれるならまた作……、」





って言いかけて言葉を止めた。

また作る、だなんてそんな約束は出来ないよね…。





「……ほら、ケーキ食うか」


「あ…っ、はい」





そんな私に気を使ってくれるかのように
立ち上がってキッチンへ。

冷やしておいたケーキの箱を手に
さっきまで向かい側にいた場所から
私の隣へとストンと座ってくる。


な、なぜ急に隣に……っ。
お酒の力も相まってドキドキしてきたぞ。






「念願のショートケーキだな」


「先輩食べれます？
私はこのためにお腹とっておきましたからねっ」


「うわ、卑怯」


「ふふふ、でも先輩の誕生日なんですから食べましょうね！」





じゃーん、って箱を開けてあげて
真ん中に置かれてるチョコのプレートを先輩の方へと向けた。


"北山先輩、誕生日おめでとう"

の文字と、周りに可愛い動物たちの絵。





「お前、35にもなるおっさんにこのプレートつけたのか」


「おっさんだろうが、誕生日はこういうのもありですからね」


「恥っず…、」


「先輩ほらっ、ロウソクもふーしてください！」


「まじかよ…、」




おっきいの三本と、ちいさいの五本。

先輩からライターを借りて火をつけて
部屋の明かりを消すと、ゆらゆらと綺麗に灯される。





「はっぴばーすでーとぅーゆー♪
はっぴばーすでー、でぃあ先輩ー♪」




隣にいる先輩に目をやって、




「はっぴばーすでーとぅーゆー♪」




手を叩いてお祝い。

そんな私に先輩は
ふーって一息で火を消し
真っ暗になった部屋。





「ありがと、A」




真っ暗でも分かる、私を見つめるその視線。

熱を持って、私を捉えて
どんどん早まっていく鼓動。






「あ…、電気つけますねっ」





一気に甘くなったような空気に耐えきれなくて立ち上がろうとすると、





「このまま。」




って、手を引かれ
私はそのまま先輩の胸の中へと収められてしまった。

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