泣き顔マニア ２

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「先輩、誕生日おめでとうございまーす！！」


「サンキューサンキュー」




ご馳走をテーブルに並べて
おっきな声で祝ってあげると
ちょっと照れながら。




「３５歳ですよね、若いな〜」


「見た目は童顔かもしんねぇけど
結構体はガタきてっからね」


「そうですか？
いつでも元気なイメージですけど」




いつもお肉ばっかり食べてるし
体力的にいったら、裕太より元気な気すらする。

……ってまた裕太と比べちゃってるし。





「まぁでも同年代と比べたら元気な方なのかな〜。
つか早く食いたい」


「ですね、食べましょう！どうぞっ」





いただきます、って律儀に手を合わせて
迷うことなくハンバーグに箸をつける先輩。

丸々ひとつを箸でつまむと
そのままガブッとかぶりついた。





「ど、どうですか……？」




そこまで不味いわけではないと思うけど
モグモグする先輩を見ながらドキドキ。




「んまいっ！」


「え、ほんとですか？」


「普通にうまい！
ってか超うまいよ！」


「うう、良かった…」




大袈裟なほど喜んでくれて一安心。

私もひとつ摘んで食べてみると
まぁまぁ普通のハンバーグの味。





「んまいっしょ？」


「んー、普通じゃないですか？」


「そ？あれだな、手料理とか久々だから興奮しちまったのかも」


「久々って……、」




遥さんは作ってくれなかったんだろうか。

そう言葉にする前に
察したように先輩は話し始めた。




「遥も作ってくれてたんだけどさ
完璧すぎるっつーの？
なんちゃらかんちゃらよく分かんねぇ調味料使ってるし。
俺はこういう不格好な普通のハンバーグが好きだわ」


「不格好ってまた…、」


「いやっ、褒めてんだって！
遥のことも別に、完璧に綺麗に作れるってのは凄いことだしさ。
ただ俺がAのが好きなだけ」




褒められてる気はしなかったのに
Aのが好き、って言葉だけで全部チャラになっちゃうこの感じ。




「……ありがとうです、」




ん、ってまたハンバーグを口にしながら幸せそうに。

そんな先輩を見ながら私も
幸せな気持ちでたくさんの料理を堪能した。

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