恋愛注意報

１５ 玉森side ページ15

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こんなにも間近でAのこと見るのなんて
いつぶりだろ。

ケーキの甘い香りが充満してる部屋で
甘い雰囲気に持ってきてみた、自分なりに。









「好きなんだよ俺、Aのこと」









”男を見せなさいよ”ってアドバイスされた言葉。


キスなんてしちゃう前に
ここではっきり気持ちを伝えないと男じゃない。

……と、思う。








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「え？」









Aの反応、見えない気持ち。

ごくりと唾を飲み込んじゃうほど
有り得ないくらい緊張してる。








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「私も、好きだよ、裕太のこと」



「えっ？！？！」







はっ？！？！

ちょっ、えっ、今すきって、



「そんな当たり前のこと今更言わないでよ、
照れるじゃんっ」









・・・ん？

なんか違うぞ、この感じ。









「まぁ〜たまに？
裕太のいい加減さに嫌いってなる時もあるけど
大事な幼馴染みだもん。
私もずっと好きだよ、裕太のこと」




「……は？」









”大事な幼馴染み”









「……ちょっと待って、
その好きは、幼馴染みとしてってこと…？」


「え？うん、それ以外に何があるの？」


「・・・(絶句)」









もう俺はここからの記憶がほとんどない。



普段滅多に食べない甘いケーキのせいなのか
Aの有り得ないくらいの鈍感っぷりのせいなのか
まじで頭がクラクラして。




でも一つだけ覚えてることは
別れ際に言われたひとこと。




”ずっとこうして一緒に祝えたら楽しいね”
って。

俺に恋愛に対する恋愛なんてちっとも見せないくせに
俺を離そうとはしない、厄介なやつ。








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「ばっかだね〜」







次の日またやってきたAのカフェで
呆れながらさっちゃんに言われた、三度目のバカ。







「どこがだよ、ちゃんと男見せたのに」


「そんなんじゃAには伝わらないよ」


「いやいや、これ以上ないくらいにド直球に伝えたつもりなんだけど」


「……まぁね、」


「これ以上どうしろっつーんだよ…」








長年培ってきた幼馴染みという壁は
なかなか頑丈で手強いことを痛感した。









「そんな落ち込んでる玉ちゃんに悲報です」


「え？」


「今日はAが藤ヶ谷先輩とデートでーす」









追い討ちをかけるさっちゃんに
隣で慰めくれる宮田。

でも、これで諦めるわけじゃないぞ俺は。

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