恋愛注意報

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「……先輩、」


「ごめんね、忙しいのに無理言っちゃって」


「いえ……、」







あの”嫁”発言で勝手に帰ってしまってからも
何度か先輩から来てたお誘いを断り続けてた。

けど、あまりにも誘ってきてくれるから
結局会ってしまってる今日の自分。








「車、ようやく届いたからドライブでもどうかなって思ってさ」


「でもいいんですかね？
私が助手席に乗っちゃっても…」


「え？」


「あ、いえ…、お邪魔しまーす…」







助手席に奥さん以外の女の人を乗せるなんて
抵抗とかないものかな…？

一応控えめに(？)
背もたれに体をくっつけないように背筋を伸ばしていると







「ごめん、シートベルトつけてくれる？」



「ひぃぃぃっ、！！」









私に覆い被さるように私のシートベルトに手をかけて引っ張った。

ナーバスになっちゃってる私はもう
悲鳴もんですけど。









「あ、ごめん」


「あのっ！！」








もうダメだ。我慢できない。

こんなモヤモヤしたまま
ドライブだなんて景色もなんも入ってこない。









「奥さんいらっしゃるのにこういう…、あの、
なんていうんですかね……？
こう…、女の子に……、」


「やっぱそこか」


「え？」







強く問いただそうとしてた私に
ふぅー、と息をついてシートベルトをはめた。








「そこ、気にしてると思ってた」


「そこ……？」


「奥さんのこと。
ちゃんとAに話しておきたくて」









困惑してる私に柔らかく笑うと
とりあえず車走らせるね、ってハンドルを取った。



誰だか分かんないけどオシャレな洋楽と
先輩の甘い香りいっぱいの車内に
伸びてた背筋が少し緩んで、心地いい車の振動に身を任せた。









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「大丈夫？お腹すいてない？」


「はい、まだ割と平気です」


「じゃあちょっと連れていきたいとこあるから
そこ行ってからご飯でもどう？」


「……はい、」








”連れていきたいとこ”ってのも気になるけど

”話しておきたい奥さんのこと”ってのが気になりすぎる。





ソワソワしながらも何気ない話をして
時々窓の外のすっかり暗くなってる景色を眺めて、

着いた場所は、少し小高い丘の上だった。

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