はじまる、恋。

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「わっ！！！！！」



「んぎゃっっっ！！！！」









話し合いも終わり、部屋の後片付けを任されて
コップやらをひとりで片付けていると
突然に後ろから肩をガッ！と掴まれて
思いっきり大きな声が出た。









「なっ、なにっ？！？！」









何事かと振り向くと、いたずらっ子のような笑顔の北山さんがいた。






なにすんですか！って怒ると
はは、って笑って
何気なく女子には重いパイプ椅子を何個かまとめて持って片付けてくれる。








「しゃっくり止まった？」


「や、もうだいぶ前に止まってますよっ？」


「あ、そうなの？
てっきりまだかと思って、脅かしてみた」









・・もうとっくに止まってたのは知ってたはずなのに。




絶対、ただ驚かせてみたかっただけじゃない。


.




もぉ〜、ってまた片付けを再開すると
軽く机に腰かけて、そばにあった資料をペラペラと適当にめくりながら話しかけられる。









「いよいよ本格的にリハも始まるなぁ〜」


「そうですねぇ、頑張ってくださいね」


「阿部ちゃんは、地方公演のときも来んの？」


「そりゃあもちろんっ！
たいした役にはたたないと思いますけど…」


「ふーん、じゃあうまいものいっぱい食いに行こうぜー」


「えっ、いんですか？」


「おう、ちゃんと頑張ったらな」


「そりゃ頑張りますよっ！！」


「意気込みだけは一丁前だよな」


「意気込みだけ…？」


「意気込みだけ」









・・本当に失礼極まりないんだから。


でも図星だし、反論もできないし。









「んはは、そんな急に落ち込むなよ」






ポンっ、て頭に手を乗っけられて
見上げると視線が重なり、鼓動が勝手に早くなる。









「うし、じゃああと片付け頼むな〜」









後ろ手でひらひらと手を振りながら
パタンと扉を閉めて行ってしまった北山さん。









「おいしいものか…、」









カニ？
にく？
さかな？



じゅるっ、








想像したら、よだれ出てきた。









「よし、楽しみが出来たぞっ！！」









まだまだ
色気よりも、食い気なわたし。

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