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戯笑 ページ16

なにか、
とても遠い日の夢を見ていた気がする。

悪夢とも言えるような、夢。



「__!A…!Aっ!!」


私の名前を叫ぶ声で目が醒めると、
見知った人の泣き顔視界いっぱいに広がった。

それと同時に、夢の内容を思い出した。


「良かった…!!Aまで起きなかったら、私……ッ」

「大丈夫?怪我は?どこか痛むところは?」


傷こそは塞がっているものの、
私の体は血塗れで、ボロボロだった。

痛みは…頭痛だけ。


「いえ、大丈夫です。
ご心配ありがとうございます、宇井特等」


にっこり

なんだか前よりも笑顔が楽になってきた。


「…え、A…?」


「?なんでしょう」


「…っ、いや……何でもない」


驚いたような、悲しいような顔をした特等が訪ねてくる。


(何故そんなカオなのかは、
私には関係のない事)


「…この状況は?」


「(…そうだ。
私、旧多二福に殺されかけて…)」



「…他の方は、私が駆け付けた時にはもう…」

本当。

「そっか…。Aはどうして倒れていたの?」

「背後から喰種に襲われ、
今まで気を失っていました」

嘘。

「…辛かったね。
…他の方々は、みんなその喰種に?」

「そう思われます」

半分本当、半分嘘。

「わかった。辛いこと思い出させてごめんね。
報告ありがとう」


…ごめんなさい。

どうしても、言えないんです。


「では、私はクインクス班へと合流してきます」


「え、でもそんなボロボロなのに他の班まで…」


「…私は、クインクス班の"駒"なので」


きっと、もうすぐお別れだけど

今は、まだ。



(…たとえ
私を助けてくれるひとが居なくても、
私は、みんなを助けたいんです)


そう、ボソッと呟いた。

聞こえていないフリをして下さいね、



宇井さん。






「それでは失礼します。宇井特等」




少しして後ろから啜り泣く音が聞こえた。

それは、今は亡きものに向けてのものだと

そう、自分に言い聞かせた。








「(髪も、真っ黒になっちゃって)」




「(…もう、私の知っているAは居亡いんだ)」




「(ごめんね…ッ助けに来られなくて)」









…貴方は昔、
真っ白で綺麗って言ってくれましたよね。




でもね、それは違かったんです。





だって私は

『だって貴女は





"コッチ側"の人間なんですから__』








白を被っていただけの、

黒だったんです。





「ブフッ」



笑っちゃいますよね

哀惜→←第五幕 終



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あちゅ(プロフ) - つ、続きが…気になりすぎる!!!!! (2018年5月21日 3時) (レス) id: 21ec6c9989 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが見たいです (2018年5月12日 21時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ面白いです!続き気になります(( (2018年3月31日 21時) (レス) id: 09905f0f4e (このIDを非表示/違反報告)
blackReaper(プロフ) - くっそ面白いのに終わりなんですか... (2018年3月21日 5時) (レス) id: 28830f5cdf (このIDを非表示/違反報告)
- とても感動しました!素晴らしい作品でしたこれからも応援してます (2018年3月10日 19時) (レス) id: e17635b3c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:透夏 | 作成日時:2017年12月31日 16時

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