信仰160 ページ41
突然自分に降りた影にギョッとして顔を上げると、体にまだ穴を空けるのかと言いたくなる程顔にピアスを着けた男の人が居た。その後ろにも数人の男が居たので吃驚したが、こんなに人に囲まれて全然気付かないって私マフィアとして不味くないかと思ってしまう。
「この辺物騒なのにさァ、一人で夜中に居ちゃ駄目でしょ」
「襲われ待ちー?お姉さんめっちゃ疲れた顔してんね」
「仕事クビにでもなったァ?俺らがパーッと忘れさせてやろうか、いい薬あんだよね」
不快な笑顔を顔に貼り付ける男達が気持ち悪くて黙っていると、無視が気に食わなかったのかブランコの鎖を思い切り蹴飛ばされた。きゃ、と短く悲鳴を上げてブランコから降りる(というか落ちた)と、そのまま手首を掴まれて乱暴に引き寄せられる。
あ、本当にまずいかもしれない。
「近くで見ると結構可愛い顔してんじゃん」
「うんうん、体も合格。久々にいいの捕まえたな」
久々……常習魔かよ。世の中の為にも殺してあげたいなぁと思ったけれど、胸に閉まった銃を一般人に向けることは許されない。
それに、もうなんだかどうだっていいような気がした。今までに無い気分だ、もうどうでもいい。
(もう、私の居場所なんて……)
代わりが幾らでも居るポストだってことくらい分かってた筈なのに、私は一体何を思い上がっていたのだろう。
特別使える異能力だって持っていなくて、精々機械に強いくらいの私より優秀な部下はきっと幾らでも居る。中原さんの代わりは居ないけど、私の代わりは居る。分かってた筈なのに、いざ突きつけられるとまるでこの世に居場所を失ったような気分になった。
「お姉さん全然怖がんないね、つまんね」
「おいここでやんのかよ」
「どうせ誰も来ねぇよ、早くやっちまおう」
ワイシャツに手がかけられ、男達の誰かのベルトがかちゃかちゃと鳴る音が聞こえた。
半ば抜け殻のようになった私の鼓膜へ次に伝わったのは、骨が砕けるような音だった。
え、と少し顔を上げると不快な手が離れて、黒い手袋が嵌められた手が私の腕を握る。走れ!という命令の声は驚く程すんなり体に浸透したので自然と足が動いた。誰が腕を引いているのか、誰が何をしたのか、よくは分からなかったけれど私の腕を掴んでいた男の腕があの時折れたことは分かった。
男達を撒く為にか湿っぽい路地裏に入ると、その瞬間私を助け出してくれた中原さんは私を思い切り抱き締めた
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おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時