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【A side】
…ここは、どこ?
桜が咲いてる。
暖かな風が吹く。
…あ、ここ、知ってる。
小さい頃、父さんと母さんが生きてるとき、
5人でお花見に来たところ。
これは…あの日の夢?
…いや、違う。
だって、この場には私しかいないもの。
父さんも、母さんも。
ゆうもむいもいない。
あの日いた他の人達すらもいない。
あの日の声ももう、聞こえない。
きっともう二度と、聞こえない。
弟達以外の声は、もう聞こえない。
聞こえない。
あの日々はもう、戻らない―――。
???
『…A』
時透 A
「え?」
突然聞こえた声に驚く。
だって、…だって、
この声は――。
???
『頑張ったわね。A。…A…っ。ありがとう。』
優しい、懐かしい声が甘く鼓膜を揺らす。
もう聞けないと、二度と聞けないと、そう思っていた声。
姿はみえないけど、この声は…。
時透 A
「母さ、ん…?」
???
『
時透 A
「父、さん」
時透母
『あなた達を遺して逝ってしまってごめんなさい。』
時透父
『お前は父さん達の自慢の娘だよ、A』
時透母
『A、…A。』
時透父
『これからも無一郎達を頼んだよ、A』
時透 A
「っ…うんっ…、うんっ…!!」
暖かな涙が頬を濡らす。
堪えていた想いが溢れ出す。
時透 A
「父さん…っ、母さんっ…!!会いたい…会いたいよぉ…っ!!」
会いたくて、会いたくて仕方ない。
母さんと父さんに会いたい。
幼い日のように、頑張ったね、偉かったな、って頭を撫でてほしい。
お疲れ様、って、抱き締めてほしい。
優しく微笑みかけてほしい。
時透 A
「ねぇっ…ねぇ、父さん、母さんっ…私、私ねっ、頑張ったよ…っ。
ゆうとむいの事、ちゃんと守れたよっ…。
ねぇ、ねぇっ…!!私、父さん達に話したいこと、いっぱいあるの…!
母さんも父さんも死んじゃって…っ、それから色んなことがあったんだよっ…。
嬉しいことも、悲しいことも、辛いことも、楽しいこともっ…
ゆうもむいも、また大きくなったんだよっ…。背も伸びたし、ゆうは強くなったし、むいはもうあんまり泣かなくなったよ。」
時透父
「うん、…うん…。知ってるよ。ずっとここから見てたんだ。母さんと二人で。」
時透母
「A…、貴女も大きくなったわね。母さんも、貴方達に会いたい…。」
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るるっち(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとうございます!あの話はとても楽しみながら書いた覚えがあります笑 (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 夢主ちゃんのドッキリがすごく面白かったです❗ (8月28日 11時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - はい!!!!そんなこと言っていただき光栄です//////めっちゃありがとうございます。 (7月1日 6時) (レス) id: c9acf0ff51 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 紬さん» そうなんですかね。コメントって貰えたら貰えるだけ嬉しいものですし、私としてはなるべくその思いをお返ししたいと思ってます。しかし、こうして褒めて貰えると嬉しいものですね。こちらこそありがとうございます。 (6月30日 20時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - おーーーー!それは素晴らしいですね。返信できる人ってなかなかいませんよ///本当にいろんな意味でありがとうございます。 (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)
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