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【A side】
時透母
『…けど、まだ会えないのよね。…まだこっちには来ちゃだめよ、A。』
何で…?どうして。
そう言おうとしたとき、ふと思い浮かぶ顔があった。
ゆう。むい。
私の大切な弟達。
世界で一番愛おしい弟達。
何で、だなんて愚問だった。
私には弟達がいる。
ゆうとむいがいるのに、帰る場所があるのに、私は帰らないといけないのに。
母さん達に会いに行くわけには、いかない。
時透 A
「…ええ、そうね…。」
時透父
『Aが父さんや母さんの歳を越して、しわくちゃになって、そしたら会おう』
時透母
『そしたらきっと、ずっと一緒にいましょう』
二人の声に、私は「うん」と言うのが精一杯だった。
時透 A
「うんっ…私、わたしっ、頑張るっ…頑張るからっ…!」
優しい風が吹き抜ける。
しばらく感じていない、両親の温もりのように、暖かく優しい風。
…そうか、だから
暖かく優しい両親の温もり。
最愛の弟達。
だから、私は―――
―――――鬼殺隊・階級戊 春の呼吸の使い手、時透A。
両親
『頑張れ、A』
時透 A
「ん…」
目覚めるとそこは蝶屋敷で、当然のように季節は夏だった。
もうすでに日は高い。
そして私の両隣には…
…というか二人揃って私の腕に抱きついて寝てるんだけど。え、何これ?可愛すぎない?可愛いの暴力だと思うなこれ!?
とか心の中で絶叫しつつも私は二人の寝顔をじっと見ていた。
むいの口が小さくもごもご動く。
微かにそれは「ふろふきだいこん」と読み取れる。
…可愛いなぁ。
今度久しぶりに姉さんがつくってあげるからね。
…ゆうの寝顔は久しぶりに見るなぁ。小さい頃なら何度か見たけど、最近じゃ私が起きる頃にはとっくに起きてるし、むしろゆうに起こされてる。
しっかりもので大人びてるけど、寝顔は年相応な、無垢で可愛らしい表情をしている。
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