続・地獄の沙汰も貴方しだい【鬼灯の冷徹】

初旅(３) ページ46

鬼「だから言ったでしょう、走ると転ぶって」


鬼灯は転びかけたAを抱き止める


あ「やっぱり、着物歩きにくい」


鬼灯の腕の中に収まりながら、不満を漏らすAを立たせ

ずれてしまった髪飾りを直してやると

少し恥ずかしそうに、ふわりと笑みを返される


く「いやあ、二人とも本当に仲が良いですね！」


急に声を掛けられて、くるみの存在をすっかり失念していたらしいAは顔を赤くした


く「本物の忍者みたいだったでしょ？良い写真も撮れたので、そろそろお店に戻りましょう」

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一足先に着替えを終えた鬼灯が、ソファーに座り

出された茶を啜っていると

店の奥から出てきたくるみに声を掛けられた


く「今日は本当にありがとうございました！」

鬼「写真はどうでしたか？」

く「めっちゃ、良いのが撮れました！そうそう、これ、どうぞ！」


渡されたのは一枚の封筒

開けるように促され、中を見ると写真が二枚入っていた

一枚は、鬼灯とAが並んで歩いている所を少し離れたアングルから撮したもので

もう一枚は、笑顔のAをアップで撮ったものだった


く「それ、彼女さん可愛く撮れてるでしょ？
よっぽどお兄さんの事、好きなんですねー！
こんな預けきった顔で笑ってもらえるなんて、、可愛くて仕方ないんじゃないですか？」

鬼「まあ、、そうですね」


鬼灯は少し照れたように返事をすると、写真を封筒に戻し

大切そうに鞄の中に収めた


――良い旅の思い出が、もらえましたね

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着物を脱いだAが、私服へ着替えていると

ノックの音の後に、杏子が部屋に入ってきた


杏「今日はありがとうございました。
良い写真が撮れたって、くるみ喜んでました！
これ、、くるみが彼女さんに渡してって」


Aが渡された封筒を開けてみると、中には写真が二枚


一枚は、二人で写っている写真

もう一枚は、うっすらと微笑む鬼灯の写真


その優しげに細められた、視線の先にいるのが自分だと気付き

Aはほんのり顔を赤くする


――私、いっつもこんな風に見守られてたんだ


愛おしそうに写真を一撫ですると


あ「良いお土産、もらっちゃった！」


封に戻した写真を

Aは大切に、鞄にしまった

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