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18 アルコール度数17% ページ19

正直、俺の誕生日を入れてハズレだったときは舌打ちしそうになった。
だが、Aの誕生日でもないとすると……

思い当たる数字を入れてみれば案の定ロックを解除することが出来た。
驚いた様子のAを無視し、俺は着拒を解除する。


自分で話したくせに何を驚いてるんだ。


あれはA達の送別会の時の話だ。

虹村さんと別れることになったばかりで不機嫌だったAは近くにある飲み物を片っ端から飲んでいた。
それが保護者用のお酒であることを知らずに。




 「ったく、コイツはアホか……」


 「あ、虹村さん。俺が送っていきますよ」


 「……そうか。じゃ、頼んだ」




俺はAを家まで送ろうとする虹村さんを爽やかな笑顔で阻止した。

少し苛ついていたのかもしれない。
Aを手放す虹村さんに。
まあ、俺にとっては好都合だったのだけれど。




 「Aは何で虹村さんと別れたんだ?」




足はふらつき、意識は途切れ途切れのAを俺は支えながら歩いた。




 『んー…、あいつがアメリカに行くからぁ?』


 「…そうか」



たったそれだけで、虹村さんはこいつを振ったのか。
俺だったら。
俺だったら遠距離なんて些細な問題なのに。

そんなことを考えてしまう自分が惨めで仕方がなかった。



 『でも、本当は、ちょっとホッとしてるんだぁ』


 「虹村さんと別れてか?」


 『うん。あたし修造のことさ、たぶん友達としか見れなかったんだよね』



初めての告白に俺は目を丸くした。
いつも自分のことなんて話さないのに。
酒の力って本当に怖いな……。




 『だからたぶん、修造もそのことに気づいてたんだと思う』


 「………」


 『ま、フラれてトーゼンだよねー。傷つけたのはあたしだし』




Aの口から出てくる溜息に俺は何も言えなかった。


その夜は、本当によく喋るもので。
今まで聞いたこともなかった色んな話を聞かされた。
そして初めて、弱音も聞いた。

高校入ってから友達できるかな、とか。
中学の友達と離れたくない、とか。

ちなみに最近の悩みは後輩が敬語を使ってくれないことらしい。
可哀想だな(他人事)。


小さいときに両親が事故で亡くなったこと。
お婆様の家で2人で生活してきたこと。




 『本当は、恋だってしたいんだけどなー』


 「俺がいるじゃないか」


 『笑わせんなー』




俺だって本当はこうしてお前の口からお前のことが聞きたい。

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Myuna(プロフ) - 毎日続き楽しみにしてます!応援してます 頑張って下さい!(。・ω・。)ゞ (2017年8月6日 20時) (レス) id: ce2e2cbeea (このIDを非表示/違反報告)
もちごめ(プロフ) - オオムラサキさん» ありがとうございます!!ぼちぼちですが更新頑張らせていただきます〜!! (2017年5月12日 0時) (レス) id: 9e06a18cdb (このIDを非表示/違反報告)
もちごめ(プロフ) - yumさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません…!!長期戦になりますがこれからもこんな2人をよろしくお願いします(笑) (2017年5月12日 0時) (レス) id: 9e06a18cdb (このIDを非表示/違反報告)
オオムラサキ - トップ画もお話の内容も好きです!!更新めっちゃ楽しみにしています。 (2017年5月9日 16時) (レス) id: 9910ac75da (このIDを非表示/違反報告)
yum(プロフ) - 赤司もかっこよく決まって、主人公ちゃんもちょっといい感じだったのに、最後の五円チョコ(笑)最高ですね(笑) (2017年4月15日 5時) (レス) id: 16305ab699 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちごめ | 作成日時:2016年1月11日 3時

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