放課後の教室と貴方の字

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龍：おねぇちゃん･･･

A：ん？何？ご飯はまだだよ。

龍：ううん。

A：どうした？



足にぴったりと張り付いてきた龍。料理をしている時は絶対にキッチンには

入ってこない龍はこの時は半泣きで入ってきた。さっきまで寝ていたから悪い夢でも

見たのだろうと思った。



龍：ママは？

A：えっ･･････？



予想外の質問、「ママは？」「パパは？」なんてしょちゅう聞いてくるけどこんな泣きそうな顔で

言われた事はない。それに対し答えられない自分がいる。いつもなら「お仕事だよ」でよかった。

今は何て答えるべきなのだろう。



龍：りゅ−くんのパパとママは何でお家に居ないの？

A：･･･パパとママは･･･――

龍：りゅ−くんの事嫌いなの？

A：！･･････ううん、違うよ。龍のことは皆大好きだよ。ただね今はお家に帰って
　 来れないだけ、もうすぐ、本当にもうすぐ帰ってくるよ。

龍：本当？

A：本当。



抱き付いてくる龍を抱え、背中をさする。本当に龍をお母さんが迎えに来る。

もうこの子に親がいないという不安がなくなる。安心の反面、また一人になるのかと

胸が締め付けられたのは事実だった。

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