放課後の教室と貴方の字

17　好きな字 ページ18

斎藤：ありがとう、助かった。

A：いいえ、役に立てて良かったです。



思っていたよりも早く終わり、斎藤さんは時間の許す限り部活をするらしい。

私は弟を迎えに保育園に向かった。

向かっている時に頭の中に浮かぶ字と顔に



A：すみません。遅くなりなした。



龍の手を握って来たのはいつもの先生だった。



保育先生1：まだ遅くないわよ･･････あれ？

A：？

保育先生1：何だか･･･笑顔が柔らかくなった、と言うより心から笑っている気がする。

A：そうですか？

保育先生1：えぇ、良い事でもあったの？



「どうでしょう」と曖昧に返すと龍の手を握って保育園を出る。



龍：おねぇちゃ――

A：龍、今日は何が食べたい？

龍：う〜ん、りょ−くんの好きなの!!

A：分かった。

龍：？、おねぇちゃん今日違う。



龍は先生と同じようにな疑問を抱いた。それに対し、先生のように嘘はつかない。



A：嬉しい事があったの。

龍：なに、なに!?

A：好きな"字"に励まされた。

龍：じ？ どういういみ？



龍の頭を撫でるとクヒッと嬉しそうに笑う。



A：大きくなれば分かるよ。



「今教えて−」とせがまれるが、「そのうちね」と返した。

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