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story12 ページ14

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「ねえ彼女、どこの高校?」


見た目から、ジャージにエナメルバッグ
試合に来ていた他校の人だろうか?と思い問いかけに答える


その後もよくわからない事を聞かれ
何の用なんだろうと疑問に思っていると
いきなり正面から片方の手を引かれる


「俺らとお茶行こうよー」


その言葉に理解が追いつかない
初対面でお茶・・・???


『友達と約束があるので・・・っ』


手を引き抜こうとするも、力が強くて振り解けない
さすがにやばいと思ってきたけれど
力では敵わないことを知らされる


恐怖という感情が一気に溢れ出て
手が震えて足がすくみ、その場にしゃがみこんでしまう
それでも手は離れず、むしろもう片方の手首も握られる


「そんな怖がらなくてもいいじゃんー!」


同じようにしゃがみこみ、私の顔を覗き
そう言葉を投げかける


どうしよう、と思っていた時
強く握られていた両手首から手が離れていく


何が起こったのかわからず
恐る恐る顔を上げると、凛ちゃんのお兄さんが立っていた


何も言わずに先程の2人組は去って行った


「大丈夫?」


そう言って目の前でしゃがみ、頭をぽんぽんとしてくれた


『・・・・・・っ』


その優しさと、恐怖から解放された安心感で
思わず涙が出てしまう

だめだ、泣くな
これ以上迷惑かけるな

そう自分に言い聞かせ必死に涙をこらえる


「・・・怖かったな、ごめんね。俺がもうひと足早く来ていれば」


その言葉にもう涙腺は緩むことを忘れる

どれくらいの時間が経ったのだろうか
お兄さんは姿勢を変えずに
頭をぽんぽんと繰り返してくれている

もう大丈夫です、と伝えようとすると
それより先に声が飛んでくる


「あー!!!!!まっつんが女の子泣かせてるー!!!」


視線を向けると青城の選手たちが
ぞろぞろと歩いてきていた

その先頭にいた及川さんが
こちらを指差しながら不思議そうな表情を浮かべている

すると後方にいた凛ちゃんが駆け寄ってくる


お兄さんが事情を話してくれたようで
何も言わずに支えて立ち上がらせてくれた



『ごめんね、心配かけて・・・』


「そんな・・・。もっと、早く行ってればよかった。ごめんね・・・」


その言葉を聞き先程のお兄さんと同じだ
と、思わず微笑んでしまう


その後はいつの間にか普通の会話に戻り
何事もなく無事に家へと到着したのだった

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作者名:monoa | 作成日時:2020年7月17日 20時

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