platonic love... (ページ6)

今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:19,649 hit

story５ページ6

.

「おーい、･･･大丈夫？」

低い声が脳内に響き渡る
その瞬間、状況を一気に理解する

どうやら転びそうになった私の腰に
手を回して支えてくれていたらしい

顔が熱くなるのがわかる

『はっ･･･あ、はい、すみません、ありがとうございます。』

「元気そうだね、よかった。ここ割と転ぶ人いるから気をつけなよ」

そう言うと私を支えていた腰から手を離し
頭をぽんぽんとして2階へ消えていった

今あの人頭ぽんぽんした･･･？

先程の出来事を考えながら自然と足早に玄関へと向かう

男の人の顔は夕日が逆光になっていてハッキリとは見えなかった
覚えているのは声と体の大きさと着ていたジャージの色

触れられていた部分が熱い･･･ドキドキする

その後凛ちゃんがお待たせと走ってきて、
帰り道でしていた話が上手く頭に入ってこなかった

━━━━━━━━━━━━━━━･･･

数日後、凛ちゃんから無事にマネージャーになれたよ！と報告が来た
30人くらい希望者がいて、その内のバレー経験者が新しくマネージャーになった2人だったそうだ

「及川さんパワー恐るべしだよ･･･」

『いやほんとね･･･？』

「そういえば、Aちゃんは恋とかしてる？」

『うーん、今までしたことないんだよね』

「は？」

『だから、恋愛したことないの』

「まじ？」

『何か？』

「いや、何も無いです･･･っていや凄いね？！」

『凄いの？(笑)』

そう、今まで誰かを好きになったことがない
男女分け隔てなくみんな友達として好きとは思う
けれど恋愛感情とやらがまだ分からない
何度か告白というものもされたけれど、分からずに断ってきた

『凛ちゃんはあるの？』

「うーん、そうだね･･･好きな人はいるよ」

『もしかして及川さんて人？』

そう言うと凛ちゃんは少し寂しそうな顔をして
〝そうだよ〟と、言った

「そう言えば、及川さんとの関係教えてなかったね」

『確かに、後日って言ってたもんね』

「初恋まだなピュアなAちゃんにはちょーーっと激しいかもしれないけど聞く？」

自分自身、恋はした事ないけれど
友達や周りの恋話を聞くのは大丈夫な方だった

凛ちゃんの言葉に一瞬たじろいだけれど
先程の寂しそうな表情が脳裏に焼き付いて離れない

『凛ちゃんが話したいって思えるなら私はいつでも聞くよ。』