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リクオは眠っているAの顔を見る。

氷麗はリクオの表情から肯定の意を読み取り声を荒げた。




氷麗「人間に任せようと言うのですか? 危険すぎます! 今すぐ祓うべきです。他の誰かに何かあったりしたらどうするんですか!」

リクオ「氷麗」




大きくはないが威厳のある声だった。

氷麗は思わずリクオの瞳を見る。




リクオ「Aはお前が思うほどヤワじゃねぇよ」




その言葉に氷麗は傷ついたような、寂しそうな表情になって顔を伏せた。

リクオは呆れたように息を吐く。




リクオ「氷麗、お前今日はもう休め」




突然の命令に氷麗は一瞬言葉に詰まった。




氷麗「ふ、二人っきりで何をしようと言うんですか!?」

リクオ「何もしねぇよ」




氷麗の慌てっぷりにリクオは苦笑いする。

氷麗はワナワナと震えると、睨むようにリクオを見た。




氷麗「分かりましたよ! どうぞごゆっくり!!」




パタパタと足音を立てながら階段を登っていく氷麗にリクオは片眉を下げる。




リクオ「何であんな荒れてんだ、あいつ」




そこでAが音もなく目を開けた。


意識が覚醒しないまま、Aはリクオの顔を捉える。

それに気付いたリクオが笑みを浮かべ、Aの顔を覗き込んだ。




リクオ「悪い、起こしちまったか」

A「……」




あの日、合宿の前日にぬらりひょんだと名乗った彼が今ここにいて自分を抱えているというのに、Aは驚くことなく、リクオの顔を見つめる。

リクオはそのまま足を進め、一階の空き部屋に入ると、ベッドにAを寝かせた。

そしてAの頬に手を添えてから、彼女の髪を掬う。

Aはくすぐったそうに目を細めると、ようやく口を開いた。




A「貴方は、」

リクオ「ん?」




リクオは口元に笑みを湛えたまま、手を離してAを愛おしげに見る。




A「貴方はどこにでも現れる妖怪なのね」




リクオは一瞬虚を突かれたような表情をして、少し寂しげに笑った。

しかしAは自分のことに精一杯でそれには気付かない。

先刻からAがリクオにされるがままだったのは、自力で動くことさえ億劫になる程の重みを感じているからだ。

そして抗うことのできない程の強烈な眠気。

Aは意識がはっきりしないまま言葉を続ける。




A「まだ……。まだ、もう少しだけ待って……。私……まだあの子に会えてない」




Aはそのまま目を閉じた。




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Ren(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張ってください! (2018年10月28日 23時) (レス) id: 572a8ca0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - すごく続きが気になります!更新ゆっくりでいいんで頑張ってください!楽しみにしております (2018年7月21日 1時) (レス) id: d31ba2a391 (このIDを非表示/違反報告)
悠与(プロフ) - すごく読みやすくて素敵な作品でした!またお時間があるときに更新していただけると嬉しいです^^ (2018年7月19日 13時) (レス) id: 6d9bae1f6c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moon | 作成日時:2018年4月29日 22時

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