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迷惑というよりは心配をかけたのでは、とAは苦笑いする。




リクオ「あれ、Aちゃん。立ち止まって、何してるの」




するとリビングで忘れ物がないか確認していたリクオがやって来てAに声をかけた。




Aは唇を結んで自嘲気味に笑みを浮かべた。




ーーー本人に聞くのは怖いなんてね……。




そんなAにリクオは目を細めた。




リクオ「どうしたの」




A「いえ、私……。ちゃんと界のために何かできていたでしょうか」




Aは扉を見つめ、少し寂しそうに笑った。




リクオはAを見て呆れたように微笑んだ。




リクオ「当たり前だよ。Aちゃんは界くんに色んなことを教えて上げられたんじゃないかな。それにね、界くん言ってたよ」




Aはリクオの言葉に顔を上げ、リクオを見据えた。




リクオはとびっきりの笑顔でAを元気付けようと口を開く。




リクオ「“ありがとう、楽しかった”って。Aちゃんが界くんを救ったんだ」




するとAは今度は少し嬉しそうに口角を上げ、眉を下げた。




A「そうですか。それは本当に良かった……」




あれほど何もかも憎んでいた界がピアノを弾く楽しさを思い出してくれたことはAにとって本当に嬉しいことだった。




界が最後に弾いたピアノは確かに聞くことはできなかったけど、それでもこの体はちゃんと界が奏でた音を覚えていた。




リクオ「ところでAちゃん」




A「はい」




Aがパッとリクオを見上げると、リクオはそのまま笑顔で続ける。




リクオ「自分が何かに取り憑かれてるって気付いてたよね」




A「はい」




リクオ「いつから?」




A「えっ」




Aは思わず笑顔を引きつらせた。




ーーー何だろう、この感じ。




リクオの笑顔はいつも通りなのだが、彼の内から滲み出る雰囲気がAの言葉を詰まらせる。




リクオ「いつから、気付いてたの」




そんなAに追い打ちをかけるようにリクオは答えを促す。




A「さ、最初からですかね」




リクオ「最初って、初めてAちゃんがここのピアノ弾いた時からってこと?」




リクオから笑みが消え、いよいよAはリクオから目をそらした。




ーーー何か……、リクオさん怒ってる……?




Aは苦笑いのまま「はい」と小さく答え、冷や汗を流す。




リクオは大きく息を吐くと少しだけ雰囲気を緩めた。




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Ren(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張ってください! (2018年10月28日 23時) (レス) id: 572a8ca0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - すごく続きが気になります!更新ゆっくりでいいんで頑張ってください!楽しみにしております (2018年7月21日 1時) (レス) id: d31ba2a391 (このIDを非表示/違反報告)
悠与(プロフ) - すごく読みやすくて素敵な作品でした!またお時間があるときに更新していただけると嬉しいです^^ (2018年7月19日 13時) (レス) id: 6d9bae1f6c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moon | 作成日時:2018年4月29日 22時

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